はじめに
金利負担と増税のターゲットは現役世代
言うまでもなく、緊急事態宣言延長による費用のとらえ方は人それぞれです。これで「リバウンド」の可能性を下げられれば安いと思う人もいれば、当初の解除基準をクリアしたにもかかわらず費用負担など論外だと考える人もいるでしょう。さらにはそもそも緊急時には費用負担など気にせず国債発行によって対処すべきだとの考えもあります。
しかし、IMF(国際通貨基金)の予想によると2021年の日本の財政赤字の対GDP比は8.6%と、人口当たりの累積感染者数が日本の18倍と状況が深刻な欧州の5.9%を上回っています。世界的に見ても感染状況に比べて景気対策の規模が大きくなっています。
日本の長期金利は一時0.175%と、およそ5年ぶりの水準となりました。依然として低金利は続いていますが、主要銀行は3月1日からそろって住宅ローン金利を0.05%引き上げるなど、ごくわずかながら金利上昇の影響は実生活にもあらわれ始めています。
東京都が「防ごう重症化、守ろう高齢者」のスローガンを掲げているように、医療崩壊による死者増加を防ぐための財政支出は絶対に必要です。しかし、リバウンドの回避のためにいくら費用を払うのかという点については比較考量の視点が欠かせません。
債務増大に伴う金利上昇によって住宅ローンの支払いが増え、その後の増税のターゲットとなるのはいずれも現役世代です。
※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません。