はじめに

生前贈与の税制が変わる?

では、「生前贈与による相続税対策ができなくなる」とはどういうことでしょう? いったい何が起こったのでしょうか?

話は昨年の年末に遡ります。毎年12月に将来の税制改正の方針を示す「税制改正大綱」というものが与党から発表されています。一般的にはあまり馴染みがないかも知れませんね。しかし、税理士業界ではメシのタネともいえる情報ですので、税理士のみならず業界関係者はとても注目しています。

実はこの「税制改正大綱」に、「生前贈与による相続税対策ができないように改正しますよ」、という内容が記載されていたのです。具体的には、「贈与によって生きているうちに財産を渡しても、相続によって亡くなったときに財産を渡しても税金が変わらないようにします」と書かれていました。

実はこれ、今に始まった話ではなく、平成31年度の税制改正大綱でも令和2年度の税制改正大綱でも同じような記載がありました。しかし、以前までは「そのような改正も考えていますよ」程度の表現だったのですが、今回の税制改正大綱では「本格的に進めます!」というニュアンスに変わり、より踏み込んだ内容になっていました。

税制改正では、このような形で気付かぬうちにジワジワ外堀を埋めてくることがよくあります。あくまで私見ですが、今回のようなケースでは早い時期に改正が行われる可能性が高いのではと思っています。しかし、現時点では、どのような内容の改正になるのかは分かっていません。

やっと相続税対策をしようと思い立った晴美さん。さて、どのような対策をしておけばよいのでしょうか。

いま、相続税対策としてやるべきこと

いま、晴美さんが相続税対策としてやっておくべきことはなんでしょうか。1つ言えることは「早めに生前贈与を始める」ことです。当たり前のことを言うようですが、早めに生前贈与を始めることで少しでも相続税を減らすことができるでしょう。いつ起こるかわからない改正に気を揉むよりも、できることを少しでもやっておくことです。

また、相続税対策は生前贈与だけではありません。晴美さんのお考えや家族関係、財産状況に合わせた色々な相続税対策が考えられます。皆さんも相続税に強い専門家に相談し、まずはご自身の財産の現状把握から始められてはいかがでしょうか。

税理士:藤原由親

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