はじめに

3月に入り、円安ドル高が加速し、一時109円台を示現しました。ドルの上昇はすでにクライマックスを迎えているのか、それともさらなる上値余地があるのか、市場の見方が分かれている印象です。

そこで、主な論点である雇用や物価を含む米国経済と、FRB(連邦準備理事会)の金融政策および米長期金利の動向を見定めながら、今後のドル円相場を展望したいと思います。


WHOのパンデミック宣言から1年

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が新型コロナウイルスについてパンデミック(世界的大流行)と認めたのは、2020年3月11日のことでした。すでに約1年が経過しましたが、依然として収束には至っていません。

しかし、米国では経済正常化の道筋がより鮮明に見えてきたと言えそうです。ワクチンなくして早期のコロナ禍収束は見通せず、その意味で最大の景気対策は財政的な刺激でも金融緩和でもなく、ワクチンの早期普及であるとはまさに言い得て妙です。

今年の3月11日、バイデン大統領は5月1日までに全成人をワクチンの接種対象とし、7月4日の独立記念日までには新型コロナウイルスから“独立”できる可能性があると述べました。ワクチン供給見通しからすれば、これでも控え目な目標という見方もあるようです。

FRBのパウエル議長はハト派姿勢を維持

ワクチン接種の進捗に加え、1.9兆ドル規模の米国救済計画法が成立したことは、当然ながらFRBに経済見通しの再考を促す格好となりました。3月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)においてFRBが示した2021年のGDP成長率見通しは、中央値で+6.5%と前回12月から2.3ポイント上方修正されています。

また、市場が注目したFOMCメンバーによる政策金利見通しも幾分修正されました。昨年12月時点では17人中5人が2023年末までの利上げ開始を見込んでいましたが、今回は18人(ウォラー理事が新たに参加)のうち7人に増えています。

一方、FOMC後に会見に臨んだパウエル議長は、「経済情勢は引き続き不均一で完全にほど遠い」として、これまで通り、金融緩和長期化の意向を強調しています。