はじめに

ご主人の収入が5分の1に! ご夫婦のライフプランは成り立つのか?

現在、ご主人の年収は、1,400万円程度と高給取りで、年間180万円の住宅ローンも、何の問題もなく返せる範囲です。ただし、状況が変わり、ご主人の収入が300万円、奥様も働きに出られて年収100万円になることを前提にライフプランの立て直しをはかりたいとのこと。職場でのストレスから解放されても、経済的なストレスにとってかわるのでは意味がありません。しっかり収支予測を立てて、世帯の必要収入を確認しておくことが大切です。

ご主人が転職された場合、世帯の年間手取りは、960万円から340万円ほどになります。一方、年間支出は、現在の手取り年収から年間貯蓄額を差し引くと、500万円程度です。転職後も支出に変動がなければ、年間収支は▲160万円となります。今後、毎年、大きな貯蓄の取り崩しが発生しますが、これまで、しっかり貯めてこられた貯蓄が2,700万円あることや、投資資産の3,430万円をしっかり運用できれば、最後まで、資金が底をつくことは無さそうです。

キャッシュ・フローグラフの左は、投資資産を毎年2.0%で運用できた場合、右は毎年4.0%で運用できた場合のシミュレーションです。65歳から80歳までは、2.0%で運用しながら毎年定額を取り崩しています。投資総額が大きいだけに、運用利回りによって、大きくライフプランに影響しますが、年間2.0%以上の運用を目指していただければ、今の生活水準を維持しても、最後まで資金が底をつくことは無さそうです。

住宅ローンの繰上返済は、焦らなくてもOK

4,350万円ものローン残高が残っており、預貯金や退職金見込額で、繰り上げ返済もご検討されているかと思います。仮に、退職金見込額を900万円として、こちらを全額、繰り上げ返済にあてたとすると、5年10カ月ほど返済期間が短縮します。さらに、5年ごとに0.2%ずつ金利が上昇していくこと前提とすると、200万円以上の利息削減効果が期待できます。

一方で、貯蓄総額が減ることで、投資資産を取り崩す時期が早まり、運用効率が悪くなります。繰り上げ返済をしないシミュレーションでは、投資資産の取り崩しは65歳からとなりますが、繰上げ返済を実行すると、62歳と3年早まります。現在の投資総額3,430万円を65歳までの22年間、年間2.0%で運用できれば5,300万円超になりますが、運用期間が62歳までとなることで、投資総額は5,000万円となり、300万円ほど運用効果が減少します。繰り上げ返済による利息軽減効果よりも運用効果の減少によるデメリットの方が大きくなります。

今後の金利情勢にもよりますが、低い金利で推移している間は、あまり慌てて繰上げ返済を実行しなくてもよいでしょう。

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