はじめに

「J-REIT」を知っていますか? もし、あなたが不動産投資に興味があるなら、J-REITも検討対象に加えてみてはいかがでしょうか。

J-REITは、不動産市場では有力な投資先であり、2020年の不動産取引市場に占めるJ-REITの買入割合は33%となっています。一方で、J-REITは、不動産業界・金融業界で働く人以外には、あまり知られていない金融商品のようにも感じます。本日は、東京証券取引所で取引されている上場J-REITについて、実物不動産への直接投資と比較しながら説明したいと思います。


実物不動産に投資する場合

図表1
図表1は、投資家であるあなたが、実物不動産へ直接投資する場合の、関係者との関係と資金の動きを示しています。まず、投資家は自己資金、またはあなたへの金融機関の融資額をもとに、予算に見合った不動産を探して購入します。予算さえ合えば、どんな不動産でも買うことができますが、個人が実物不動産に投資を行う場合は、比較的投資額の小さい区分所有マンションや、一棟のアパートが対象となるでしょう。

また、実物不動産を保有している間は、「誰に貸すか」、「設備が壊れたらどう直すか」、「どのタイミングで不動産を売却するか」といったことを投資家自身が判断して運営します。実際の賃貸や修繕は、不動産管理会社に対応してもらうことが多いでしょう。そして投資利益は、①賃料等とメンテナンス費用等との差額と、②売却額と購入額の差で、投資家が直接受け取ることになります。

J-REITに投資する場合


次に、図表2は投資家であるあなたが、J-REITに投資する場合です。J-REITは「買った不動産を入れておく箱」のようなもので、J-REIT自身は運用を行いません。金融機関との融資や金利の支払い、保管・運用・管理の事務委託はREITの名前で行いますが、「誰に貸すか」、「設備が壊れたらどう直すか」などの運営は、運用委託を受けた資産運用会社が判断し、不動産管理会社に指図して、保有物件を管理します。

投資家は、J-REITへ投資すると、かわりに投資証券を受け取ります。投資証券は、株式会社でいうと株式に相当し、証券取引所でいつでも売買して投資資金を回収することができます。また、投資家は、①投資証券から受け取る分配金と、②投資証券の売却額と購入額の差が投資利益となります。J-REITは、利益の90%以上を分配金として支払いますので、通常、不動産会社の株式を購入するより配当利回りが高くなります。

そして、どの用途の不動産に投資するかについては、銘柄毎に運用方針に定められています。大きく分けると、あらゆる用途の不動産に投資する総合型REITとオフィス・ホテル・商業施設・物流施設など、特定の用途に投資する特化型REITに分類されます。投資物件のパフォーマンスは、物件の個別性に加えてセクターや立地エリアの市況動向にも左右されますので、経済動向や市況見通しなどを総合的に判断し、銘柄を選ぶことになります。

なお、資産運用会社、不動産管理会社は、大手不動産会社などを母体(スポンサー企業と言います)とするグループ会社であることが多く、REITの運用成績もスポンサー企業の影響を強く受けます。例えば、商業施設の運営に強みを持つ会社がスポンサー企業の場合、REITも優良な商業施設を保有する可能性が高くなります。実際の投資にあたっては、スポンサー企業の特徴を調べてみるのも良いかと思います。