はじめに
外出自粛の影響で客数が急減
戦略転換を進めていた各CVSですが、2020年から新型コロナウイルスの感染拡大という更なる試練に見舞われます。特に第1回目の緊急事態宣言下では、外出自粛による繁華街への人出減少や、テレワークの導入によるオフィス街への人出減少により、各CVSとも売上を大きく落としました。
新型コロナウイルスの感染拡大はCVS業界を危機的状態に陥れたわけですが、各CVSが同じように落ち込んだわけではありません。2020年4月の既存店売上高はセブンが前年同月比5%減、ローソンが同11.5%減、ファミマが同14.8%減と減少幅に違いがありました。
また、その後の回復動向を見ても、セブンがいち早く前年同月比プラスを達成したのに対して、ローソンやファミマはようやく前年同月と同水準に戻ってきたところです。この違いはどのような要因がもたらしたのでしょうか。
生活様式の変化への対応力に違いあり
上記のように繁華街やオフィス街で人出が減少したことによる各CVSへの影響は、出店立地によって差が出ました。ファミマは店舗網が都市部や電鉄周辺に集中していたことでネガティブな影響をより大きく受けました。一方で、セブンは住宅地や郊外の構成比が比較的高く、店舗網がバランスよく展開されていることが功を奏しました。
また、その後の回復には新しい生活様式への対応力で差が出ました。外出自粛の環境が続き、在宅時間が増えたことで、CVSを利用する消費者のニーズが変化しています。具体的には冷凍食品や生鮮食品、家飲みのための酒類などをまとめ買いする需要が拡大しました。
需要の変化にいち早く対応できたのがセブンで、売り場のレイアウトを変更し、冷凍食品や酒類の売り場面積を広げることで需要を捉えました。そういった需要の変化への対応力が足元の売上差につながっていると考えます。