はじめに

コンビニ業界の今後の展望

現状ではセブンの1人勝ちといった様相ですが、ローソンやファミマも手をこまねいているわけではありません。

ローソンは今までに取り組んできたIT投資や加盟店支援を収益の源泉として、アフターコロナで需要が見込まれる商品の拡充や、サプライチェーンの見直しによって収益力を高める方針を打ち出しています。ファミマも有名デザイナーと組んで展開するブランド「コンビニエンス ウェア」で新たな需要を捉えようとしています。こういった取り組みが売上回復につながるか注目しています。

また、ここまでは国内CVS業界の話をしてきましたが、コロナ前より問題となっていた国内出店立地の飽和問題はなくなっていません。あくまで国内事業は回復がメインで、CVSグループ各社が新たな成長の場としているのは海外です。

例えば、セブン&アイ・ホールディングスは北米での事業拡大を進め、プライベートブランド商品の拡充や、キャッシュレス決済を活用したデジタル戦略を推し進めています。また、米国でCVS事業を展開するSpeedwayブランドの買収を進めており、一気に米国での店舗数を増やし、シェア拡大を図っています。

ローソンは中国での店舗網をいち早く広げ、2021年2月末には3,344店舗まで拡大させています。中国はコロナ禍からの景気回復が早く、中国事業はローソングループ全体の収益向上に貢献する規模まで成長しています。

このように、コロナ禍で苦しんだ国内CVS事業の回復には新たな生活様式への対応力が問われる一方、グループとしての成長には海外への積極展開が欠かせないと考えています。どちらも先行するのはセブン&アイ・ホールディングスであるように感じますが、ローソン、ファミリーマート両社の挽回にも期待したいところです。

<文:投資情報部 樋尾俊樹>

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