はじめに

「近未来の企業の姿」を3つのキーワードから考える

多様な「個」が主役となる時代に、企業の姿はどう変わっていくのか。そしてどんな企業が変化に対応し生き残っていくのか。この見極めが就活生にとっても重要になってきます。キーワードを3つあげ、説明していきましょう。

デジタル・ディスラプション(デジタル技術による破壊的変革)

UberやNetflixなど、最新のテクノロジーと斬新なビジネスモデルを駆使して既存の企業に取って代わろうとする新興企業(デジタル・ディスラプター)がたくさん出てきました。この影響を受けない産業・業界はほぼなく、近未来の企業の姿を考えるうえでこのトレンドは押さえておかなければなりません。

AIの社会実装の加速

今後AIが社会や産業、生活を変えていく流れはますます加速していくでしょう。AIの社会への実装がどんな分野でどのように進み、どんな企業がその中で活躍できるのか。就活生も自分事として考えておきたいところです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は不可避

「デジタル・ディスラプション」と「AIの社会実装」を受けて、現在の日本企業の最重要課題となっているのが 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」 です。経済産業省はDXを以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
(経済産業省「DX推進ガイドライン」より)

林さんは最後の「競争上の優位性を確立する」という部分を重要視しています。ここがなければ、単なる「デジタル化」だからです。

また、孫正義氏のかつての発言(デジタル・オア・ダイ──デジタル化か、死か)になぞらえ「DX・オア・ダイ──DXか、死か」とその重要性を表現しています。

志望する企業がDXをどう捉え、どう取り組んでいるのか。この視点もこれからの企業選びに不可欠と言えます。

図解 戦略就活メソッド』から、近未来の「働き方」と「企業の姿」を見てきました。著者の林さんは以上のような近未来分析を踏まえて、就活生向けて次のようなメッセージを発しています。

過去から今の働き方だけを見て、また、過去から今の企業の姿だけを見て、安易に就職先を決定するのは絶対にやめてほしいと思います。できることなら、自分の頭で未来の働き方、未来の企業の姿を考える努力をして、それも踏まえた上で、主体的なキャリア選択をしてほしいと思います。(69ページ)

就活は、自分自身をよく知り、アップデートするいい機会です。また、世の中の大きな流れを把握する絶好の機会でもあります。

就活をきっかけに、「個の力が輝く時代」を楽しんで生きていく術が見つかるかもしれません。


著者プロフィール  林 晃佑(はやし こうすけ)
1982年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。在学中に「京大生向け就活支援サービス」で起業。その後、株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)に入社し、ITを活用した複数の新規事業開発に従事した後、リクルートのグループ会社の代表取締役社長を歴任。
本業の傍ら「1人1人のキャリアを最優先に考えた就活の方法論を、わかりやすく伝えたい」というモットーのもと、東大・京大生を中心に今までに1万人以上の大学生の就活支援を行っている。就活支援を受けた学生の進路は、外資系コンサルティングファーム、外資系投資銀行、外資系IT企業、外資系メーカー、日系大手企業、メガベンチャー企業、ベンチャー企業、スタートアップ企業、官公庁等多岐にわたっている。

図解 戦略就活メソッド 林晃佑  著

図解 戦略就活メソッド
就職活動において「正しい戦略」を立て、「正しい努力」でそれを実行に移す手法を徹底的に解説! 東大生・京大生をはじめ、1万人以上の学生の就活支援をしてきた著者が、就職活動におけるあらゆる場面での判断・行動の最適解を余すところなく紹介します。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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