はじめに
米金利低下、ドル下落を止めた米平均時給上昇率
では、米4月の雇用統計について、細かく見てきましょう。
前月発表された米3月雇用者数は、事業所調査ベース速報値で前月比91.6万人増でしたが、今回77.0万人増に下方修正されました。家計調査ベースの3月分雇用者数60.9万人増に近い数字となりました。家計調査ベースの4月分の雇用者は32.8万人増で、事業所調査ベースとの乖離が小さくなっています。
なお、同時に発表された失業率も雇用者数同様、改善予想の市場予想中心値よりも悪い6.1%となり、3月からも悪化しています(事前予想5.8%)。
非農業部門雇用者数、失業率は、市場予想中心値よりも悪い内容となった米4月雇用統計でしたが、米4月平均時給上昇率は、予想以上に上昇する内容となりました。こちらは、非農業部門雇用者数・失業率とは真逆で、市場予想中心値が弱過ぎた結果でした。着実に上昇している平均時給は、米国債利回りが雇用統計発表直後の急低下から、一気に指標発表前水準まで回復する材料になったかもしれません。
とは言っても、市場参加者は中長期的な目線を持つ者ばかりではありません。目先オンリーの証拠金プレーヤーや自動取引、A.I.(人工知能)は、発表された指標の事前予想比強いか弱いかで売買するのが仕事ですから、ある程度相場が動くのはやむを得ないでしょう。それでは、米4月雇用統計発表直後の相場の反応についても解説します。