はじめに

熾烈な競争を繰り広げるメーカー各社、次世代を勝ち抜くのは?

中国では外資・合弁系と国内独立系、新興系のNEVメーカーが三つ巴となって、熾烈な競争を繰り広げていますが、足元の月間NEV販売台数(乗連会発表、4月の卸売ベース)が1万台を突破したのは(1)上汽通用五菱汽車(30,602台)、(2)テスラ(25,845台)、(3)BYD(25,450台)、(4)上汽乗用車(13,004台)の4社のみです。

この中で(1)上汽通用五菱汽車と(4)上汽乗用車は両方とも上海汽車集団の傘下にある企業で、前者は大ヒットした格安EVである「宏光MINI EV」のメーカーとして知られ、後者は「栄威」(ロエベ)、「R」など独自ブランドのNEV車を製造販売しています。上海汽車集団はこの2社以外にも、アリババ・グループと共同で新興EVブランドの「智己汽車」を設立しており、中国の大手自動車グループの中で最もNEVに力を入れています。

また、(2)テスラは上海で「モデル3」の量産を開始し、急速にコストダウンと販売台数の拡大を図っているほか、(3)BYDも独自の電池技術を活かして中価格帯のNEVで高い市場シェアを誇っています。この2社はNEVに関する豊富なノウハウと独自の技術を保有しているため、今後中国のNEV市場で熾烈な競争を勝ち抜く可能性が高いと思われます。

一方、ポテンシャルの点では、新興勢力である蔚来(ニオ)汽車と「極氪」(ジーカー)の動向にも目が離せません。このうち蔚来(ニオ)汽車は、巧みなマーケティング戦略で「中国発高級EV」としてのブランドイメージを確立させています。高級車から大衆車へと展開することで事業規模の拡大が期待できるでしょう。

「極氪」(ジーカー)は、吉利汽車新たに設立したEVブランドで、独自開発のEVプラットフォーム(SEA)で開発の効率化とソフトウェア・ハードウェアの最適化、コストパフォーマンスの最大化を図ることができるため、今後NEV市場の新星として注目を集めそうです。

<文:市場情報部 王曦>

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