はじめに

働く人の意識が多様化する現在、「会社のルール=就業規則」にも変化が求められています。従業員の管理を目的とした“上から目線のルール”では人材が定着しないからです。
これからの時代の就業規則にはどんな視点が必要なのでしょうか。社労士として1000社を超える企業の経営問題を解決してきた、下田直人さんに聞きました。


※本稿は下田直人『新標準の就業規則 多様化に対応した〈戦略的〉社内ルールのつくり方』の一部を再編集したものです。

つくる意図が変わってきている就業規則

少し前まで、就業規則は何のためにつくるのかというと、企業側が「労使関係において有利に働くように」という意図を持って作成していたのではないでしょうか。

もちろん、すべての企業がそうとはいいませんが、本音の部分では、そのような動機で作成した企業が多くあったのも事実でしょう。

実際、我々のところに就業規則の作成を依頼する企業の中にも、そうした動機で依頼してくるケースが多数ありました。

インターネット上の情報で、「問題社員対策に就業規則を」といった文言が踊っていたのも事実です。

しかし、時代は変わりました。昨今では、「良好なパートナー関係を構築するために必要なルールとしての就業規則」が必要になってきています。もう、そうでないと人がついてこないからです。

企業が一方的に有利になるようなルールでは、優秀な人材がその企業に定着しません。従業員をうまく操る、企業が有利になるような就業規則を作成しても、賢い従業員がその意図を見破ってしまいます。

それでは「良好なパートナー関係を構築するために必要なルールとしての就業規則」とは、具体的にはどのような考え方に基づくべきなのでしょうか。