はじめに

LGBT等の多様性への対応

いよいよ開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会ですが、オリンピック憲章には、「性的指向による差別の禁止」が記載されています。

また、政府の進めた「ニッポン一億総活躍プラン」等において、性的指向、性自認に関する正しい理解促進、社会全体が多様性を受け入れる環境づくり」がうたわれました。

そうした社会的価値観の変化も相まって、LGBTなどの多様性の受け入れを企業内でどのようにしていくのかを考える空気も生まれてきました。

2017年1月1日から、男女雇用機会均等法の妊娠・出産等に関するハラスメント指針に「 被害者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアル・ ハラスメントも、本指針の対象となるものである」との一文が追加され、「セクシュアル・ハラスメントには 同性に対するものも含まれる」ことが明記されました。

そのような背景を受けて、セクシュアル・ハラスメントに対する指針などを変更することに加えて、家族手当や結婚休暇に同性パートナーも認めた企業も出てきています。

今後の世の中の流れを考えると、性的指向の多様性を認める企業、それを制度として就業規則にルール化し担保している企業が、世間から評価される時代になってくると考えます。

従属関係の組織から自律分散型の大人の組織へ

コンプライアンスに関する意識の芽生え、終身雇用という概念の希薄化など、様々な要素が重なり合い、労使間において「契約」という考えが一般化してきました。

経営者には「雇用契約」という言葉を嫌がる方が相当数おられます。

「企業側ばかりに義務が強いられる」といったイメージを持っておられるようです。

しかし、契約はどちらか一方に縛りを設ける約束事ではありません。双方がうまくやっていくための決まりごとをつくるということです。

本来、双方がうまくいくためのルールを明確にしていくのが契約社会ですから、お互いにとって住みやすい社会になるはずです。

とはいえ、実際にはそうはなりにくいのです。「自分が不利にならないように」という内向きの自分視点発想で約束を決めようとするからです。労使双方がそう考える場合もあれば、どちらか一方にその思いが強い場合もあります。

自分ばかりに目が行く内向きの視点が解消されれば、ルールを明確にすることはとてもいいことなのです。では、どうすればいいのか──。その1つの答えが意識の変容です。意識レベルが高い人たちの集まる組織となっていくことです。

それを私は「大人の関係の組織」といっています。「大人の関係の組織」とは、頭がいい人たちや教養が高い人の集まりということではありません。相手に無関心でドライな人たちの集まりでもありません。

自分自身という囚われから意識が外れて、自然と「大きな目標・目的(自分の目標・目的 ではない)のために生きられる人」「自分と人とが切り分けられないような感覚」「世のため人のためといった自分の外に意識が向かう感覚」、このような意識を持った人たちが多く集まった組織です。

近年現れたティールやホラクラシーといった、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない、従業員それぞれが裁量権を持って行動する「自律分散型の組織形態」がそれに近いといえます。