はじめに
増加する「エフゼロインベスター」とは?
とはいえ、総口座数は今年300万口座を超えました。ベトナムでは初めて株式投資をする個人投資家をF0 Investor(エフゼロインベスター)と呼んでいます。ベトナムではコロナに感染した人をF0(エフゼロ)と呼び、エフゼロインベスターはそれになぞらえて生まれた言葉です。
こうした投資家の多くは、周りがやっているから自分もやってみようと株式投資を始めた人が多いです。そのため専門知識を持った投資家は少なく、ほとんどが株が上がっている今なら儲かるだろうと考えるビギナー投資家です。証券会社の多くが手軽なインターネット取引を提供しており、若者世代を中心に投資家層が拡大しています。
投資家が株式に向かう理由
しかしなぜエフゼロインベスターが急増しているのでしょうか。日本と同じくベトナムでも金融緩和が行われ、銀行預金は低下傾向にあり、より高いリターンを求めて預金から株式へのシフトが起こっています。
ベトナムで投資の対象となるのは主に株式、債券、不動産で、規制も多いため投資の選択肢は多くありません。例えば2019年から2020年にかけて不動産会社、銀行を中心に多くの上場会社が社債を発行し、個人投資家のマネーを引き付けました。しかし高利回りの社債はリスクが高く、当局が個人投資家向けに注意喚起するとともに、企業に対しても個人投資家向けの発行を厳格化しました。こうした規制も個人マネーが株式市場に向かう要因になりました。