はじめに

よくある相続トラブルTOP3

曽根さんによると相続トラブルには傾向があるそうです。セミナーではそのトップ3が実例を交えて紹介されました。そうならないためにはどのような対策をとればよいのか、曽根さんの解説とあわせてみていきましょう。

第3位:不動産が分けにくく揉めるケース
【例】相続不動産の共有・分割で話がまとまらない
母親は自宅とアパートを相続し、ビルとマンションを子ども3人が3分の1ずつ共有。しかし共有したことで、子どもたちの間にはすぐに感情の対立が発生。売却して等分に分けることや母親が亡くなった後の相続(二次相続)をアドバイスしても話がまとまらず、現在も膠着状態になっている。

「分けにくい不動産については、父親があらかじめ遺言書を残してさえいればトラブルにならなかったでしょう」(曽根さん)

第2位:相続人の一方が財産を開示しないケース
【例】亡くなった両親の預金通帳を管理していた長女が次女に通帳を見せない
両親が亡くなった際に両親と同居をして預金通帳を管理していた長女が次女に通帳を見せなかったことからトラブルが発生。次女が銀行で取引履歴を確認すると長女が両親の預金から多額の現金を引き出していたことがわかり、姉妹は絶縁状態に。

「遺言書があればよかったのですが、なくても贈与や財産の内容は生前にオープンにすべきです。また相続では隠し事をしないことが必須。全てを情報共有しないと揉めてしまいます」(曽根さん)。

第1位:主張が対立するケース
【例】介護を負担している分、多く相続したい
父親の介護を長男の妻がしているため、将来的には「妹や弟よりも自分が多く相続すべき」と考える長男から相談があった。

「2019年7月から特別寄与料という制度が導入され、相続人以外の親族が無償で被相続人の介護等を行った場合に金銭を請求できるようになりました。しかし、被相続人が亡くなった後では難しいこともあります。このケースで最もいいのは、父親が長男の妻にも配慮する旨の遺言書を自分の意志で書くことです。相続配分を決める寄与料については、介護の記録をしておくことも大事でしょう」(曽根さん)

曽根さんによると、相続対策の基本は「生前対策」、遺産分割でもめないよう被相続人が生きているうちに準備をしておくべきだそうです。さらに、被相続人の意思確認が取れないと遺言書作成や贈与ができなくなるとか。認知症になる前の対策がよいでしょう。

そして曽根さんが念をおすのが「普段から家族間コミュニケーションを取ること」です。遺言書や生前贈与のためだけではなく、家族間でしっかり情報を共有することで、不要なトラブルが減らせるといいます。

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