はじめに
買い替え特約や不動産会社による買取も
新居が中古物件の場合はあまり使えない制度ですが、売主が不動産業者となる新築物件の場合は、契約書に買い替え特約をつけられる可能性が高いです。
新築物件は販売から引渡しまでに時間がありますから、その間に旧住居をできるだけ高値で売却したい人にはおすすめの方法です。期限までに旧住居の売却ができなかった場合、新居購入の契約を白紙撤回できる特約ですので、リスクなしでじっくり売却することができます。
ただし、新居の売主側からすれば不利な特約となりますので、特約の期間を短めに設定されることもあるでしょう。期間内に売却できない場合は契約が白紙となるため、新居の購入が叶わなくなる可能性があることも承知しておきましょう。
予定していた期間までに旧住居の売却ができない場合、不動産会社に直接買い取りしてもらえる場合もあるでしょう。物件にもよりますが、相場の7割前後での買い取りとなってしまうことが多いです。旧住居の売却より先に新居の購入が決まった場合、こうした最低の買い取り価格も視野に、新居の購入予算を考えるのが賢明といえそうです。
マイホーム売買で利用できる節税
旧住居で住宅ローン控除を利用していた場合でも、条件を満たせば新居で再び住宅ローン控除を利用することができます。また旧住居を売却した際に損失が出ている場合には、譲渡損失を他の所得と相殺できる特例があります。こちらは住宅ローン控除と併用することができます。
一方、旧住居を売却した際に利益が出ている場合はどうでしょうか。下記のような特例を利用できることがありますが、基本的に住宅ローン控除との併用ができませんので注意が必要です。
・譲渡益から3,000万円を特別控除できる特例
・10年超所有している不動産を売却したときの軽減税率の特例
・マイホーム買い替え時の譲渡益への課税を繰り延べられる特例、など
どの特例も適用のための条件や適用期限があり、特例によっては併用できるものもあります。どの特例が利用できるのか、どの特例を利用するのが最も節税効果が高いのか、税務署や専門家に相談、試算してもらうと良いでしょう。
不動産の売買では大きなお金が動きます。特に買い替えとなると、売買タイミングによって物件価格が大きく変わることもあるでしょう。また、住宅ローンの選択によっては支払い総額が大きく異なります。さらに、住宅購入や買い替えをサポートするための税制もいくつか用意されているため、どれが選択できるのか、またどれを選択すべきか、わかりにくくなっているのが現状です。
一期一会となる物件との出会いを逃さないようにしつつ、税制などを有効利用して、物件の売買にまつわる支出を最小限にできる方法を考えたいものです。
(文・中村愛)