はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
内藤忍さんの著書に触発されて、遅まきながら投資を始めようとしてる者です。友人に「初心者が始めるならNISAがいいよ」と言われました。積立型の投資信託を中心に考えた場合、私のような初心者にとって、NISAはどのような方針で使えばいいのでしょうか?
また、初心者なので安心を取って、バランス型の投資信託の商品を積み立てながら購入していくのがよいのでしょうか? それとも、国外の債券などに決め打ちして、そういった商品を積み立てながら、投資していくのがよいのでしょうか? どちらもそれなりに意味があると思いますが、投資信託の勉強を考えた場合、バランス型ではリバランスなどの勉強ができないのではとも考えています。NISAの仕組みも少し変わるようで、お答えにくい時期かと思いますが、アドバイスをよろしくお願いします
(50代前半 独身 男性)
内藤: ご指摘のように、初心者がこれから投資を始める場合、NISAを活用するのは賢明な選択だと思います。問題は、どのような投資商品を組み入れて資産の形成をしていくかです。
バランス型のメリット・デメリット
バランス型の投資信託とは、1つのファンドに国内外の株式・債券・REITなどがバランスよく入っていて、自分でアセットアロケーションしなくてもよいというメリットと、リバランスと呼ばれる配分比率の調整を自動でやってもらえるというメリットがあります。
しかし、バランス型ファンドの場合、配分比率は固定されており、自分の希望にあった配分比率にすることはできません。
また、株式と債券の比率が半分ずつといった機械的な配分になっている場合が多く、理想的な資産配分になりにくいというデメリットがあります。
そこで私がおすすめしたいのは、それぞれの資産毎に投資信託をセレクトして組み合わせる方法です。1つの投資対象に決め打ちするのではなく、バランスファンドと同じように分散投資を実践するのです。
その際に注意すべきは、株式と債券の比率だけではなく、全体の外貨の比率をどの程度にするかです。円高・円安のどちらにもニュートラルなポジションは、円資産と外貨資産を半分ずつ保有することです。
これをベースにして配分比率を考えていきます。
投資初心者はインデックスファンドから
投資信託は販売手数料のかからないネット証券で購入し、信託報酬が0.6%以下の低コストのインデックスファンドを使うのがよいと思います。
インデックスファンドは市場平均(インデックス)に連動する運用成果を目指す商品で、過去の運用成果は同じ投資対象であれば、どのインデックスファンドもほとんど同じです。
またインデックスファンドの対極にあるアクティブファンドの運用成果がインデックスを超えるものは半分以下ですから、少なくともこれから投資を始める初心者・未経験者の人はファンドの当たり外れのないインデックスファンドから始めるべきなのです。
私の提唱している金融資産の資産配分比率は以下としています。
日本株式:10%
日本債券:30%
海外株式:30%
海外債券:10%
その他資産(REITなど):20%
海外資産に関しては、先進国と新興国に分けてそれぞれインデックス投資をすればよいでしょう。
投資を始めたら、日々の動きに一喜一憂するのではなく、3か月に1回のモニタリング(資産配分比率のチェック)と1年に1度のリバランス(配分比率の調整)を行う程度で、あまり手間をかけないことです。
積立も活用していけば、5年後、10年後には、よい結果が待っていると思います。ぜひ、始めてみてください。