はじめに
東京オリンピックが始まりました。卓球、体操、柔道など数々のスポーツでアスリートの活躍が伝えられています。
しかし、深刻なのは新型コロナウイルスの感染再拡大です。 なんとしつこいのでしょうか。日本の1日の感染者数は再び過去最多を更新してしいます。
日々多くの方へのワクチン接種が進んでおり、早く感染に歯止めがかかると良いのですが、首都圏や沖縄などで緊急事態宣言が出され飲食店等の営業時間の短縮が求められるなど、一部で経済活動の制限が続くなんとも難しい状況です。
こうした中で3月決算の日本企業の第1四半期(4~6月期)の決算発表が始まりました。まだ前半戦といったところで発表したのは全体の3割程度ですが少しずつ傾向が見えてきています。
筆者がこれまでに決算発表を行った712社の決算を集計したところ、売上高は前年同期比16%増の53.4兆円、経常利益は2.5倍近い5.2兆円とそれぞれ大幅増となりました。それもそのはず、昨年の4~6月は世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大し最初の緊急事態宣言が出されるなど、世界的に経済活動が完全にストップしていた時期です。その時期と比べれば当然経済は動いています。そのため手放しで喜ぶことはできないのですが、最悪期を脱したことは間違いないと言ってよさそうです。
業種別の傾向を見ていくと、昨年業績が大きく落ち込んだ機械、海運、輸送用機器などのいわゆる「景気敏感セクター」の回復が目立ちます。
例えば小松製作所(6301)は売上高が前年同期比41%増の6,482億円、経常利益が2倍以上の614億円とV字回復を達成しました。北米やアジア地域での売上が好調のようです。三菱重工業(7011)も売上高は9.5%増の8,517億円と微増ですが、経常利益は前年の768億円の赤字から210億円の黒字に1,000億円近くも増加しました。エナジー事業やプラント・インフラ事業など各事業がそれぞれ回復しました。
海運の商船三井(9104)も驚異的な業績回復を達成しました。経常利益は1,042億円と前年の73億円からなんと14倍強の増加です。商船三井は第1四半期の決算発表とともに今期の業績予想や配当の大幅な上方修正を発表しました。持分法適用会社のコンテナ船事業会社の業績が非常に好調なことが上方修正の要因で、特に増配のインパクトは非常に大きく発表後に株価は大幅に上昇して推移しています。
また、日産自動車(7201)や三菱自動車(7211)もそれぞれ好調な業績を発表しそれぞれ今期の業績予想を上方修正しました。世界的に販売が堅調のようです。