はじめに

まず「論理」とはなにかを知る

多くの人は「論理」とはなにかを知りません。漠然とわかっている気持ちになっているだけです。それで、発言する際、その発言の論理が正しいかどうかを考えもしませんし、正しいか否かを判定しようとは思いません──いえ、それ以前に「発言の論理が正しいか否かは判定可能である」ということを知らないのです。

「論理的」に関しても同様で、多くの人は、論理的であるとは、どういうことなのかを知りません。漠然とわかっている気持ちになっているだけです。それで、発言中に「論理が正しくない部分」や「論理的でない部分」が、ちらほらと、あるいは、ふんだんに紛れ込みます。  

論理的な発言をするためには──発言中に「論理が正しくない部分」や「論理的でない部分」が紛れ込まないようにするためには──「論理」や「論理的」に関する十分な理解が必須です。

それを省略して、表面的なコツやテクニックで済まそうとしてもダメです。コツやテクニックはなく、理解がすべてだからです(ただし、発言したり、文章を書いたりする際に注意すべき点はあるので、その注意点をコツやテクニックとよぶことはできます)。

そういうわけで、論理的に考えたり、話したりできるようになるには、まず「論理」とはなにかを知ることが肝要なのです。


著者プロフィール:小野田 博一(おのだ ひろかず)
東京大学医学部保健学科卒業。同大学院博士課程単位取得。大学院のときに2年間、東京栄養食糧専門学校で講師を務める。日本経済新聞社データバンク局に約6年勤務。ICCF(国際通信チェス連盟)インターナショナル・マスター。著書に『論理思考力を鍛える本』『数学<超絶>難問』『数学<超・超絶>難問』『古典数学の難問101』『論理的な小論文を書く方法』(以上、日本実業出版社)、『13歳からの論理ノート』『13歳からの勉強ノート』『数学難問BEST100』『13歳からの英語で自分の意見を伝える本』(以上、PHP研究所)、『超絶難問論理パズル』『人工知能はいかにして強くなるのか?』(以上、講談社)などがある。

「論理力の基本」 トレーニングブック 小野田博一 著

「論理力の基本」 トレーニングブック
本書は、論理や論証、議論・反論の仕方など「論理の基本」を学ぶためのトレーニングブック。やさしい問題を繰り返し解いていくことで、論理的に伝えるために押さえておくべきルールや習慣が知らずしらずのうちに身につきます。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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