はじめに

成年後見人が必要なのは高齢者だけではない

このような後見制度を利用することになるのは、認知症だけではありません。知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方々にも必要な制度になります。

ただ、この指針が発表されたことで、認知症を発症した場合とともに、障がいのある子の預金についてもこのような対応がされるようになるかもしれません。障がいがある子の親が、「親なきあと」のために障害年金を一切使わずに貯蓄しているケースがよくありますが、実際にはその子が自分のためにそのお金を使えるかどうかわかりません。しかし、親がお金を引き出そうとしても、本人の意思確認が必要になる場合があります。今回の指針が発表されたことにより、そのような場合でも親族が本人に代わって預金を引き出すことができるようになるかもしれません。

実際の運用については未知数

しかし、今回の発表で示されたのはあくまで「指針」であり、各銀行に対して強制力を持つものではありません。銀行としては、リスク管理の点から今後も成年後見制度の利用を前提とせざるを得ないでしょう。

また、今回の指針で示された対応を取り入れるとしても、本人の判断能力が低下していることを証明する診断書や、明らかに本人の利益になる支出であることを証明する資料の提出など、その適用には厳格な要件が求められることになると思われます。今回発表された指針の内容は家族にとって歓迎すべきものですが、まだ実際の運用については未知数です。

このような動きがあることを認識しつつ、今後の経過を見守る必要がありそうです。判断能力が低下することによりご自身で預金取引ができなくなる可能性があることも考え、現実的な対応として解約などが難しい定期預金などにはせず、普通預金としておくこともひとつの方法です。

行政書士:藤井利江子

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