はじめに

9月3日(金)に発表された米8月雇用統計は、事業所調査ベースによる非農業部門雇用者数(以下 NFP)が前月比23万5千人増と、事前予想中心値の73万3千人増に比べてかなり弱い内容となりました。

前月・前々月分は併せて13万4千人上方修正されましたが、この上方修正を含めても、かなり弱い内容です。ただ、米8月失業率は前月の5.4%から、市場予想通りの5.2%まで低下しており、一概に弱いとは言えないと思われます。


米8月雇用統計、失業率は予想通りの低下

8月に発表された米7月NFPは、新型コロナウイルスのデルタ変異株感染拡大が懸念されている中でも極めて強い内容でしたが、ここにきて、デルタ変異株の感染拡大が米労働市場に影を落としつつあります。ウォルシュ米労働長官も米雇用統計発表後に、「8月の雇用者数はデルタ変異株の影響を受けた(“U.S. JOBS NUMBERS IN AUGUST IMPACTED BY DELTA”)」と発言しています。

8月NFPの弱さは、サービス業での雇用大幅鈍化が影響しているようです。特に、ここまで米雇用増に貢献してきた「娯楽・宿泊」関連雇用が全く増加しなかったことが大きかったようです。

米FRB当局者が年内テーパリング開始の目安としていた水準(月平均80-85万人増)からは少し遠ざかってしまったかもしれません。

筆者が注目している家計調査ベースの労働力調査でも、8月雇用者は前月比50万9千人増と、7月の104万3千人増から大幅に鈍化しています。ただ、米国では新学期が始まり、来月発表される9月のNFPでは、子供を持つ(母)親がパートタイム・アルバイト等で雇用増に貢献し始めることが期待されています。新学期がフル対面授業になるのかどうかも重要な要素になってきます。

家計調査ベースの失業率は、前月の5.4%に対して5.2%と、大きく改善しています。複数の米FRB当局者が「職場復帰を妨げている要因」としてきた失業保険の上乗せ給付は、既に半数以上の州知事が打ち切っており、継続中の州でも9月6日で給付期限が終了します。そのため、9月分の米雇用改善への期待は引き続き強いものと思われます。

人員数確保のために多くの企業が賃上げや採用時の現金支給といった手段を講じていることから、今後も米雇用増は続くものと思われますが、改善ペースが懸念材料になっているようです。

ところで、前月は恥を晒す形になった筆者予想ですが、米雇用統計調査週(12日を含む週)の米失業保険継続受給者数の差(受給者が33.8万人減)から、前月比35万~45万増の予想でした。

事業所調査ベースの平均時給は、市場予想よりも少し高めに出ており、前月に続き、上述した賃上げや現金支給の影響が出て来ているものと思われます。