はじめに

今の貯蓄状況が継続した場合、資産は40年間底をつくことはない!

現在、毎月20万円、ボーナスから100万円と、年間340万円の貯蓄ができています。貯蓄ペースが変わらなければ、ご相談者様が60歳、奥様が58歳時点の21年後には、途中2回、自動車(200万円と仮定)を買い替えたとしても、今よりも6,740万円資産が増えて8,540万円となることに。しかも、iDeCoとつみたてNISAにも積立投資されていますので、運用状況によってはもう少し資産形成できるかもしれません。

この8,540万円に加えて、60歳からトータルで600万円の個人年金を受け取り予定です。合計である9,140万円を、100歳まで生きると仮定し、40年間取り崩したら、毎月いくら受け取れるか考えてみましょう。

単純に、9,140万円を40年間で割って計算すると、毎月19万円となります。もし、介護費用として500万円かかるとしても、毎月18万円取り崩せます。現在の生活費(保険料や奥様実家への送金を除く)は、お小遣いを入れても16万円と、この金額を下回っていることを考えると、年金で不足する分や医療費などを考慮しても足りるのでは? と筆者は考えます。ぜひ一度ご夫婦が受け取ることになる年金額を、ねんきんネットや年金事務所などで調べてみてください。受け取る年金に加えて、資産から毎月18~19万円を取り崩しても、40年間底をつくことはないと考えたら、少しほっとされたのではないでしょうか。

運用を続ければさらに資産は延命

また、もしこの資産のうちiDeCoや投資信託などの運用資産について、運用を続けながら、少しずつ取り崩すようにすれば、さらに資産寿命は延びるでしょう。たとえば、60歳時点での運用資産がもし2,000万円あった場合、毎月10万円ずつ運用せずに取り崩したら、なくなる期間は16年8カ月ですが、1%の利回りで運用しながら取り崩せたら18年3カ月に、2%であれば23年2カ月と延びます。その時のご相談者様、奥様の状況によって、すべて現金化するか、運用を続けて取り崩すか考えると良いでしょう。

よって、家計収入と支出の差が、年間340万円である状況が続いた場合は、大きな心配はそんなに要らないと言えます。ご相談者様は、今は治療に専念し、良くなってから可能であれば復職するという心づもりで、問題ないと思いますよ。

もし子どもを希望されているのであればぜひ考えて

ご相談内容の最後にあった「子どもは持てないかと思います」という一文が少しだけ気になりました。ご相談者様と奥様のご希望は文章からはわかりませんが、もし、お金のことが心配であきらめているということであれば、前向きに考えても良いのではないかと私は考えます。

子育て費用は、トータルで2,000万円などと言われますが、それはあくまで毎月の積み重ね。生活レベルを上げすぎなければ、収入が大きく増えなくても、お子様一人は可能です。

少し古いデータですが、子育てにかかる費用を年齢別に中学生まで出している「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、夫婦だけの生活に比べて、子どもが一人生まれると年間84~156万円支出が増えるようです。これに加えて、大学費用のための積立を月1万5,000円(合計324万円)するとした場合、ご相談者様は年収102~174万円のお仕事ができれば、現状の貯蓄ペースを落とさずに資産形成ができそうです。もしご希望でしたら、決して不可能ではないという前提で、ご夫婦で話し合ってみてくださいね。

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