はじめに
地方から東京に出てきて一人暮らしを始めると、その家賃の高さに驚かれる方も多いのではないでしょうか。筆者自身も、地方ではファミリータイプのマンションに住める家賃で、ワンルームしか借りられないと知ったときの衝撃は大きかったです。
結婚後など、住宅ローン減税が使える50平米以上の広めの1LDKなどに住む場合、賃貸と購入ではかかるお金がどれくらい違ってくるのか、実際に比べてみたいと思います。
今の金利なら家賃より安く購入できる?
住宅ローンの低金利時代が続いており、結婚を機に住宅購入を考える方も多いかと思います。同じような住宅を賃貸するか購入するかで比較したとき、毎月の家賃とローン返済額はほぼ変わらないという物件も多くあります。
それでは具体例を見ていきましょう。賃貸家賃15万円、分譲価格4,000万円、表面利回り4.5%のマンションにかかる費用を比べてみたいと思います。
<毎年かかる費用>
賃貸 | 購入 | ||
---|---|---|---|
家賃 | 1,800,000円 | ローン返済 ※2 | 1,354,968円 |
更新料 ※1 | 75,000円 | 管理費等 | 87,000円 |
修繕積立金 | 120,000円 | ||
固定資産税 | 140,000円 | 合計 | 1,875,000円 | 合計 | 1,701,968円 |
※1:2年に一度、新家賃の1ヵ月分とし、1年分に換算した金額を計上しています。
※2:利率1%、35年ローンの場合で試算
※3:その他の費用は、一般的な数値をもとに概算計上しています。
このように、毎年の支出を比較すると購入に軍配が上がりそうです。次に、入居前に必要な初期費用について比べてみましょう。
<初期費用>
賃貸 | 購入 | ||
---|---|---|---|
敷金・礼金 ※1 | 312,000円 | 手付金 | 4,000,000円 |
仲介手数料 | 162,000円 | 仲介手数料 ※2 | 1,360,800円 |
契約書印紙税 | 30,000円 | ||
登記関連費用 | 400,000円 | ||
不動産取得税 | 240,000円 | ||
ローン関連費用 | 800,000円 | 合計 | 474,000円 | 合計 | 6,830,800円 |
※1:各1ヵ月分として試算
※2:基本的には、中古不動産取得の場合のみ必要。新築の場合は、修繕積立一時金や管理準備金などがかかります。
購入時の初期費用は賃貸を大きく上回ります。ただし、物件価格の4,000万円全額を借り入れたものとして試算しておりますので、手付金400万円については借り入れ実行時に手元に残るお金となります。したがって、差額の約280万円が初期費用として支出が必要な金額といえるでしょう。
借入期間の35年間住み続けると仮定すると、280万円の初期費用は1年当たり8万円となります。これを加えても購入の場合は年間約178万円の負担となり、賃貸よりも割安に感じます。
賃貸なら修繕費が無料!?
賃貸物件でもエアコン設置済み、インターネット使用料無料という物件が増えてきました。これらの費用が家賃に含まれていると考えれば、かなりお得かもしれません。
エアコンだけでなく、ガス給湯器や水まわりなど、15年前後で取替えが必要になることが多くあります。分譲住宅を所有している場合、こうした修繕費用はすべて自分でまかなわなければなりません。
わが家の場合も、築10年を超えたあたりから蛇口交換、ガス熱源器の交換、エアコン交換など、すでに100万円近くの修繕費用がかかっています。このほかの家電製品も次々に寿命を迎えると、一時的に支出は増えることになります。
賃貸物件であれば、ご自身で購入した家電製品以外の修繕費用は、基本的に大家さんもちです。業者さんに依頼する手間などもかかりませんし、賃貸物件も案外お得なのではないでしょうか。