はじめに
投資信託を初めて買う人にとって、値段が動くのはちょっとだけ怖いかもしれません。結果、価格変動リスクを抑えたバランス型を選択しがちなのですが、実はその選択は、自分の資産全体を考えると間違いかもしれません。
8資産に分散するバランス型ファンドも
バランス型ファンドとは、株式や債券など複数の異なる資産クラスに分散投資する投資信託のことです。基本形は国内株式、海外株式、国内債券、海外債券の4資産に分散するタイプで、これに国内REIT(不動産投資信託)、海外REITを加えた6資産に分散するタイプ、海外株式を先進国株式と新興国株式、海外債券を先進国債券と新興国債券に細分化して8資産分散を名乗っているファンドも運用されています。
初めて投資信託を買う人の多くは、恐らく「バランス型ファンドなら分散投資効果が期待できるし、基準価額の値動きも株式100%で運用されているファンドに比べれば小さいから安心」と思っているのではないでしょうか。
それは間違いではありません。特に債券を組み入れて運用しているファンドは、株式100%の組入比率で運用されている投資信託に比べれば、基準価額の値ぶれは小さくて済みます。
バランス型ファンドと株式型ファンドのリスクを比較すると
たとえばセゾン投信が設定・運用している「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」の基準価額を比べてみましょう。前者は国内外の株式を最大50%、国内外の債券を最大50%組み入れて運用するバランス型ファンドであり、後者は国内外の株式を最大100%まで組み入れて運用できる株式型ファンドです。
両ファンドとも運用開始は2007年3月15日です。ということは、2007年のサブプライムショック、2008年のリーマンショックによる世界的な株価急落を経験しています。両ファンドがそれぞれどの程度まで値下がりしたのかを見てみましょう。
運用開始時の基準価額は両ファンドとも1万円です。
まずバランス型であるセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの基準価額は、2007年7月19日に1万926円まで値上がりしましたが、そこからサブプライムショック、リーマンショックを経て、2009年1月26日には6,275円まで下落しました。
一方、株式を100%まで組み入れて運用できるセゾン資産形成の達人ファンドはどうだったのかというと、2007年7月10日に1万487円まで値上がりした後、2009年3月11日には4,601円まで下落しました。
高値からの下落率は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが42.56%、セゾン資産形成の達人ファンドは56.12%にも達しています。
「100年に1度」とまで言われた金融ショック時の状況ですから、やや極端な事例ではありますが、バランス型ファンドの資産クラス分散による価格変動リスクの軽減効果は確認できます。