はじめに

価格変動リスクはポートフォリオ全体で調整する

これまで預貯金しか利用したことのない人にとって、投資信託を用いた運用は、「怖い」と思うのかも知れません。

そのため、資産クラス分散による価格変動リスクの軽減効果が期待できるバランス型ファンドを選好する傾向が見られるのだと思うのですが、私は初心者でも経験者でも、そもそもバランス型ファンドを選ぶこと自体が違うのではないかと考えます。

資産形成の初心者だとしても、銀行預金は利用しているのではないでしょうか。銀行預金は、昨今のゼロ金利時代にはほとんど利息が付かないので、運用商品としての体は成していませんが、少なくとも安全資産ではあります。

もちろん1,000万円超ものお金を預けている銀行が破綻して、預金保険でカバーできなかったというレアケースや、インフレになったら実質元本割れする恐れがあるといった理屈はさておき、基本的に預貯金は元本割れしません。

そして、恐らく多くの人が、ある程度のお金を預貯金に置いていると思います。だとしたら、わざわざバランス型の投資信託を買わなくても良いのではないかと思うのです。

バランス型ファンドは、株式の収益性と、債券の安全性をミックスした商品です。債券と預貯金では若干、商品は異なりますが、両者とも満期(償還)まで保有すれば、発行者によって元本が保証されるという基本的な仕組みは同じです。

その預貯金を一定金額持っているのだとしたら、わざわざリスクを取って運用する部分まで、価格変動リスクを軽減する仕組みを取り入れる必要はありません。価格変動リスクは個別金融商品で調整するのではなく、自分が持っているポートフォリオ全体で調整した方が合理的です。

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