はじめに

5%のリターンで満足できるのはお金持ちだけ

では、年5%のリターンが安定的に実現するとして、どの程度、満足のいく経済効果が得られるのかを考えてみたいと思います。

確かに、年5%程度のリターンで十分という人もいます。金融資産が5億円程度の人からすれば、5%リターンで2,500万円の運用収益が得られますから、過大なリスクを取らずに安定的に得られるリターンであれば、それでよしとするでしょう。

お金持ちは資産運用をするうえで、非常に有利な立場にあります。同じ5%のリターンでも、より大きな資金を投じることが出来るので、それだけ収益の絶対金額が大きくなりますし、資金にゆとりがあるので、半分遊びの感覚で、極めてリスクの高い投資対象に資金を投じることも出来ます。仮にこの手の投資に10の資金を投入し、そのうち8が紙切れになったとしても、残りの2がそれぞれ10倍になれば、最初の投資元本は倍になります。

こういったお金持ちの運用に対し、月1万円程度をコツコツと積み立てて、年5%のリターンで運用した場合、果たしてどの程度の運用収益が得られるでしょうか。

これは、オンライン証券会社などが提供している積立シミュレーションをちょっといじれば、誰でも簡単に計算できます。
楽天証券の「積立簡単シミュレーション」を使って計算してみましょう。

月1万円を年5%のリターンで運用し、30年間積み立てた場合の元利合計金額は、832万2586円。その内訳は、積み立てた元本部分が360万円で、運用収益は472万2586円です。確かに積み立てた元本以上の運用収益が得られていますから、年5%のリターンが安定的に実現した場合の効果は、ある程度見られると言っても良いでしょう。

でも、絶対金額で考えてみて下さい。30年間も積み立てて、ようやく得られた運用収益が472万2586円です。30年といえば定年を迎えた人の人生の半分に相当します。

それだけの長い時間をかけてコツコツ努力した結果が新車1台分(ちょっと高級車かも知れませんが)というのは、いささか悲しいと思いませんか。何もしないよりはマシですが、いくら年5%リターンが安定的に実現したとしても、月1万円の積立投資では、かけた時間も大した味方にならないということです。

資産運用にありがちな誤解「少額投資で資産ができていると思ってはいけない」の記事でも触れましたが、いくら少額資金を長期にわたって積み立てたとしても、元本が少額では投資成果も少額にならざるを得ず、結果的に大した資産にはならないことを、この数字は物語っています。

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