はじめに
住宅ローンを組む際によく耳にする言葉、住宅ローン控除。「税金が戻ってくる」ことは知っていても、制度自体を詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。住宅ローンを申し込む前に、フルに控除額が利用できるよう、内容を理解しておくことが大切です。
そもそも「住宅ローン控除」とは
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅の床面積が50平方メートル以上など、一定の条件を満たした住宅を購入し、金融機関や勤務先から借り入れをした場合に利用できる制度です。
一般住宅の場合は、年末のローン残高の1%が10年間、所得税、住民税から控除されます。最大の年間控除額は40万円です。
住宅ローン控除をフル活用するポイント
1.夫婦ペアローンを利用する
夫婦共働きの場合、2人でローンを組むペアローンを利用することで、各々が住宅ローン控除を利用できるため、他の控除を利用していても、住宅ローン控除を最大限利用できる可能性が高くなります。
2.住宅ローンの借り換え、繰り上げ返済時は控除の期間を伝える
住宅ローン控除は最大10年間利用できますが、借り換えや繰り上げ返済時に、借り入れ期間が10年以下となると住宅ローン控除が利用できなくなってしまいます。これらを行う場合には、金融機関の担当者に必ず住宅ローン控除の期間が残っていることを伝えましょう。
3.物件の規定や、収入制限に注意する
物件規定には、床面積が50平方メートル以上、床面積の2分の1以上が自己の居住に使用されていることなどがあります。ワンルームマンションは50平方メートル以上ない場合が多いので、住宅ローン控除の利用を検討している場合は事前に確認しましょう。また、収入については控除を受ける年の合計所得が3,000万円以上だと利用できません。
4.所得控除を活用していると控除金額を使い切れないことも
確定拠出年金などの小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、ふるさと納税などの寄付金控除、生命保険料控除などを活用している方は、住宅ローン控除金額をすべて使い切れない場合があります。また、所得が低く、もともと支払っている所得税・住民税が住宅ローン控除の金額を超えていないと、住宅ローン控除が最大限に活用できないので注意が必要です。
余裕ある返済計画をしっかりと持ちましょう
住宅ローン控除を最大限に利用することも大切ですが、一番は住宅ローンを申し込む際に、収支計算をし、無理のない範囲で返済計画を立てることです。
最後に、住宅ローン控除を利用する場合、初めの年は勤務先で年末調整ができませんので、金融機関から送られてくる「残高証明書」を必ず保存し、確定申告を忘れずに。
執筆:田中 麻依
ファイナンシャルプランナー。学習院大学経済学部卒業後、銀行にて住宅ローンや無担保ローン等、個人のローン取次業務に5年間従事。現在は、別会社にて勤務しながら、これまでの経験・知識を活かし、個人として活動中。FP技能士2級、日商簿記2級、証券外務員1種。趣味は、フルート、セルフネイル、旅行。
(記事提供:Mocha)