はじめに

10月8日(金)に発表された米9月雇用統計は、事業所調査ベースによる非農業部門雇用者数(以下 NFP)が前月比19万4千人増と、事前予想中心値の50万人増に比べてかなり弱い内容となりました。2か月連続、予想よりもかなり悪い内容でした。

前月・前々月分は併せて16万9千人上方修正されましたが、この上方修正を含めても、かなり弱い内容です。ただ、家計調査ベースによる米9月失業率は、事前予想中心値の5.1%に対して4.8%と、かなり改善しており、前月の5.2%からもかなり改善しています。失業率の低下は、21歳以上の女性と黒人の労働参加率低下を受けたためとのことです。

米失業保険の上乗せ給付失効(9月6日)と学校再開(フル面談授業再開)による子供を持つ(母)親のパート就業再開で、9月のNFPは回復するとの期待が強かった分、今回のNFPの数字は失望する内容です。米国では引き続き、新型コロナウィルスのデルタ変異株の感染拡大と、一部の州でのワクチン接種率低迷が、懸念材料になっているようです。


米9月雇用統計は失業率が大きく改善

9月NFPの弱さは、7月まで米雇用増に貢献してきた「娯楽・宿泊」関連雇用の回復ペースが8月以降鈍化していることと、政府関係者の雇用が前月以上に減少したことが原因と思われます。教育関連の現象について、米労働省は「季節調整」と説明しています。


筆者が注目している家計調査ベースの労働力調査では、9月雇用者が前月比52万6千人増と、NFPの事前予想とほぼ変わらない水準です。掛け持ちパートタイム・アルバイト就業者が賃金の高いところ一ヵ所にして、その分、失業者が雇用されたのかもしれません。

一部の米FRB当局者からは「毎月50万人程度の雇用増があればいい」という発言もあり、NFPヘッドラインの弱さをことさら重要視する必要はないかもしれません。引き続き、子供を持つ(母)親がパートタイム・アルバイト等で雇用増に貢献し始めることが期待されています。

現在、人員数確保のために多くの企業が賃上げや採用時の現金支給といった手段を講じています。ただ、労働市場の復帰にまだ時間がかかっている状況が続いているのかもしれません。あくまで筆者の予想ですが、完全な売り手市場で、労働者側は賃金・待遇等で時間をかけて天秤にかけているのかもしれませんね。

前月・前々月は恥を晒す形になった筆者予想ですが、米雇用統計調査週(12日を含む週)の米失業保険継続受給者数の差から、9月は前月比20万~30万増の予想でした。

事業所調査ベースの平均時給は、市場予想よりも高い前月比上昇率になっていますが、前月分が下方修正されており、材料視していいのかどうか分かりませんが、前月比は着実に上昇傾向にあり、先行き雇用増に期待が持てる内容と解釈したいです。