はじめに

市場のセンチメントはどう変化した?

市場予想よりかなり弱いNFP発表を受けて、前月同様、市場のファーストリアクションはドル売り、米国債利回り低下となりました。ただ、失業率が市場予想通りも大きく改善しており、平均時給(前月比)の上昇が先行きへの期待を強め、ドルはすぐ買い戻され、米国債利回りも上昇に転じました。水準こそ違え、前月とほぼ同じ動きです。

予想比強いか弱いかだけで瞬時に売買するA.I.(人工知能)がファーストリアクションの相場を作り、A.I.よりも手が遅い人間が後からついていく相場は毎回のことです。

今回は、資源価格が上昇していることで、先月までとは違う、強いインフレ懸念から2022年利上げ開始見通し前倒しあるいは利上げ回数見通し引上げなどの影響も強く、米国債利回りが下がり切らないことも、ドルを支えているものと思われます。

米テーパリング年内開始見通しは変わらない

引き続き、ファンダメンタルズ要因の米テーパリング早期開始観測は、今後発表される米指標でころころ変わると思われますが、年内に開始するとの見通しは変わらないでしょう。

この先のドル円相場はどうなるでしょうか。筆者は引き続き、(1)日本企業による海外企業を買収するM&A案件がドル円を下支えする、(2)原油価格・天然ガス価格上昇(回復)による日本の輸入金額増、(3)昨年のパンデミック時のような日本の輸出企業の外貨資産取り崩しが無くなる、の3つを理由に、昨年から円安予想を維持しています。

ここもとの原油価格・天然ガス価格の上昇に加え、他資源価格も上昇して来ており、ドル円は10月11日に113円台まで上昇してきています。ただ、現在確認できる日本企業による大型M&A案件はほぼ完了していることもあり、これまで必要以上にドル円を底上げしていた要因が捌けているため、年内はいったん110円割れまで調整し、年末に再び高値トライと予想しています。

<文:チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄>

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