はじめに

代表的な減額規定

例えば、あなたが住宅用の土地購入を検討されている場合を思い浮かべて欲しいのですが、いびつな形状であったり、幹線道路に近く騒音の大きなところにある土地や、墓地に隣接している土地を購入しようと思いますか?

もちろん値段や価値観次第ではあるでしょう。しかし、大抵の人はもっと良い条件の土地を買うか値引きを行うかを検討すると思います。

このように地形や周囲の環境からの影響を大きく受ける土地という財産は、路線価方式や倍率方式だけで一律的な評価をしては却って不公平になるという理由で、税法ルールの定めにより、評価におけるさまざまな減額規定があるのです。

他にも、土地の利用目的により、配偶者や相続する人が同居している場合の自宅土地は80%減になる「居住用小規模宅地等の特例」や、賃貸用不動産の土地評価が200平方メートルまで50%減になる「貸付事業用宅地等に該当する宅地等の特例」といったさまざまな「特例」も存在します。

以下は、減額規定の代表的な一例です。

土地の空中に高圧線が通っている土地上空に高圧線が掛かっているような土地は、建物の建設に制限がかかることがあるため、状況によって最大で30%の評価減が受けられることがあります。
都市計画道路の予定地都市計画道路の予定地も、評価を減額できるきていがあり最大で50%の減額が可能です。
不整形地不整形地とは、形がいびつに歪んだ土地のことを言い、その形状や歪み方の度合いに応じで評価減があります。
広大地周辺の土地に比べて著しく広大な土地は、開発を行おうとした場合に新たに道路を施工するなどして削られる面積も多いことから、減額の規定があります。
墓地への隣接地墓地の近くにある土地も、通常の土地に比べて10%減額できる場合があります。
周囲からの騒音や悪臭などが酷い土地周囲からの騒音や悪臭などの問題のある土地も、10%の評価減を受けられる場合があります。

このように、相続税における土地評価の減額規定にはさまざまなものがあります。土地の場所や形状、権利関係等も絡み、評価の判定は難しく、その根拠も法令以外に財産評価基本通達などを参照しなければいけないため、専門家に任せた方がいい分野といえるのです。

相続税の申告後でもできること

このような土地評価の減額規定を見逃さないために、相続税の申告時には信頼できる税理士をパートナーとすることが大切です。遺産の分け方や誰が財産を相続するかに関わるルールもありますし、申告後や期限後では修正のきかないこともあります。

既に申告をしてしまったが少し気になるという方もいると思います。その場合は、改めて調べ直してみましょう。もし、見逃していた適用できる減額規定があれば、相続税申告期限(亡くなった日から10ヶ月)から5年以内であれば、税務署に対して還付請求を行うことが可能です。

認められるかどうかはケースバイケースですが、トライする価値があることもあるかもしれません。その場合も、やはり信頼できる税理士のパートナーと一緒に行うことが大切です。

(この記事は相続tokyoからの転載です)

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