はじめに

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんが、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。


汎用性の高いフレーズを使えるようにしておこう

仕事におけるコミュニケーションでテキスト(文章)を使う機会が増えつつあります。ふだんはあまり使わないものの、仕事のやり取りで重宝する表現や言い回しは覚えておくと、スマートに会話が進みます。

【便利な表現(1):存じます】
△ ご多用とは思いますが、ご検討のほどよろしくお願いします。
◯ ご多用とは存じますが、ご検討のほどよろしくお願いします。

「存じます」は、「思う」や「知る」の謙譲語「存ずる」に丁寧語の「ます」を添えた、相手を立てる敬語表現です。同僚や部下に対して使うにはやや堅苦しい表現ですが、相手が目上の人や上司、取引先であれば、丁寧で誠実な印象を与えることができます。

また、自分の意見を伝えるときにも「存じます」を重宝します。「A案がよろしいかと存じます」という具合に、へりくだりながらも、しっかりと自分の意見を伝えることできるからです。「ありがたく存じます」「光栄に存じます」のように、お礼を伝えるときにも使いやすいフレーズです。

【重宝表現(2):幸いです】
△ 28日(月)までに写真データをお送り願います。
◯ 28日(月)までに写真データをお送りいただけますと幸いです。

「幸い」は、◯◯してくれたら「(私は)嬉しい」「(私は)ありがたい」という意味です。「○○してください」とストレートな命令調で書くよりも、文面の印象が丁寧かつソフトになります。

ただし、そのソフトさゆえ、相手に対する拘束力は“ユルめ”です。期限を厳守してもらいたいときは「28日(月)までに写真データをお送りいただけますよう、何卒お願い申し上げます」と強めにお願いする必要があります。相手が目上のときは「幸いです」の代わりに「幸甚です」や「幸いに存じます」と書くのもよいでしょう。

【重宝表現(3):~したく】
△ ~についてご確認したいと思い、ご連絡いたしました。
◯ ~についてご確認したく、ご連絡いたしました。

「○○したいと思います」や「○○したいため」というニュアンスの文章を書きたいときに「~したく」という表現が使えます。「~したく」を使うと、くどくどしさが消え、スッキリと丁寧な印象を与えることができます。

なお、(1)でお伝えした「存じます」と組み合わせた「○○したく存じます」も、メールで使える頻出フレーズです。「アイデアをお聞かせいただきたく存じます」という具合です。

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