はじめに

法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の3種類に分けられる

契約に記載した代理権しかない「任意後見制度」に対して「法定後見制度」は、代理できることが法律により定められています。その権限は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分けられています。それぞれ、どんな人が対象になるのでしょうか。

●後見
「後見」の対象になるのは、判断能力がほとんどない人です。自分の行動の結果を判断できないため、「後見人」となった人が代わって契約ごとや財産の管理を行い、本人を支援できます。例えば、日常的に必要な買い物も誰かにやってもらう必要があるような人です。このような場合、定められた「後見人」は日常生活に関する行為(簡単な買い物等)を除き、すべての法律行為に関する取消権・代理権を持ちます。

●保佐
「保佐」の対象になるのは、日常的な買い物などは一人でできるけれど、難しい契約ごとはできないような人です。

財産管理に関する判断能力が平均より低いため、特定の法律行為については定められた「保佐人」が同意をすることにより、本人を支援します。例えば、日常的に必要な買い物程度は本人ができるけれど、重要な財産行為(不動産の売買や自宅の増改築、金銭の貸し借り等)ができないような場合、「保佐人」は重要な取り引きに関する同意見・取消権を持ちます。ただし、「後見人」とは違い、代理権はありません。

●補助
「補助」の対象になるのは、たいていのことは一人でできるけれど、難しい契約ごとなどはできるかどうか不安がある人です。「保佐」と似ていますが、成年後見制度の基本理念である「自己決定権の尊重」「残存能力の活用」をより実現するため、平成12年の改正により新たに創設された制度です。

元気なうちに家族と話し合っておくことが大切

以上のように、本人や家族の状況により、活用できる効果的な制度はまったく違います。大切なことは「元気なうち」に家族と話をすることです。

・自分は何をしたいのか
・家族は何が心配なのか

お互いの考えていることを聞いてみましょう。そのような場に、専門家に同席してもらい、助言を求めるのは非常に有効です。第三者として、実務や法律上の問題点などもアドバイスをしてもらうことで、より具体的な話ができることでしょう。

特に法律上の制度を利用する場合には、元気な「今」だからできることが多くあります。家族での話し合いは、早いほどできることが増えます。皆さんも年末年始に家族でこのような場を作ってみてはいかがでしょうか。

行政書士:細谷洋貴

この記事の感想を教えてください。