はじめに

在宅勤務手当の目的は?

在宅勤務手当は、在宅勤務によって増大する通信費や光熱費の支援として支給している企業が多いものの、支給状況については各企業の事情によって異なります。

「会社の方針としてテレワークを推奨しているのか、他にどんな手当を支給しているのか、テレワークの頻度は週何日か、といった点でも支給の有無や金額が変わってくるようです。一概に『在宅手当を支給している企業は素晴らしい』と評価することもできないでしょう」

「金額については調査結果では3,000円という中央値が出ました。以前社労士の先生に聞いた際にも『3,000円~5,000円』という金額だったので、特に少なくもない妥当な結果だったと思います」

就業規則改訂や打刻ルールの作成を

約1年半のコロナ禍で在宅勤務制度を導入した企業は多く、今後もひとつの働き方として定着していくでしょう。通勤手当の原資を在宅勤務手当に充てたり、オフィスを縮小してコスト削減したりという動きも目立ちます。同社の担当者は、在宅勤務導入を望んでいながら行えていない企業に対しては新たな制度設計が必要だと説きます。

「そもそも就業規則上にオフィス以外で働くという規定がない会社も多いので、そこの改訂は必要です。採用時の契約内容、労働条件などの契約まわりの変更も余儀なくされます。また、在宅勤務に移行できない要因が社内システム面であれば、クラウド系システムへの変更やツール導入によって課題が解決されることもあるでしょう」

「今は『テレワークは働きやすい』と感じた人が多くなったので、導入しているかどうかは採用活動に置いても重要指標となります。人材採用促進のための制度設計はより大切になってくると思いますね」

それでもテレワークはまだまだ少ない

今回の調査結果について、全国的なデータで見たときにテレワーク導入企業がまだまだ少ないことを実感した、と同社の担当者は話します。

「テレワークがそもそも方針にない会社のほうが全国的にはまだまだ多いので、導入のためのノウハウやルール作りが広く展開されることが必要です。緊急事態宣言が発令されてから就業規則の改訂や勤務上の打刻ルール作成が追いついていない中で、急いでテレワークに移行した企業も少なくありません。コロナ禍が長期化することを見越し、今一度、社内のルール整理をし、社労士の先生などを交えながら改定を行うことが大切になってくるでしょう」

就業規則の改訂や社内ルールの統一化、クラウド系システムの変更やツール導入など、今からでもテレワーク導入に向けてできることはあります。今なお導入に踏み切れない企業や、ルール作りが不十分のまま実施している企業は、今一度これらを見直すいい機会にしてはどうでしょうか。

(この記事はボクシルマガジンからの転載です)

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