はじめに

騰落率は見なくても良い

純資産総額と資金流出入状況で、ある程度購入したい投資信託の候補を絞り込んだら、過去の運用成績をチェックします。

過去の運用成績といっても騰落率をチェックするのではありません。正直なところ、騰落率は見なくても良いくらいです。ここで必ず見ておくべきなのは、過去の基準価額の推移です。

基準価額は、投資信託に組み入れられている資産の価値が上昇すれば値上がりしますし、資産の価値が下落すれば値下がりします。個人が投資信託を買ったり、解約したりする場合、この基準価額と購入・解約する受益権の口数を掛けたものが購入金額、解約金額になるので、基準価額の値動きの幅が、その投資信託が内包しているリスクの度合いであると考えられます。

過去の基準価額を見るうえで注目したいのは、投資先のマーケットが大きく下落した時、その基準価額がどの程度値下がりしたのか、です。たとえばグローバル株式型投資信託であれば、2008年のリーマンショックや、直近だと2020年3月のコロナショックにより世界株式の急落が参考になるでしょう。このように、短期間のうちにマーケットが急落した時、基準価額がどのくらい値下がりしたのかをチェックするのです。

その際に見るべき点は2つあります。

ひとつはグローバル株式市場全体の値動きを示すインデックスとグローバル株式型投資信託の基準価額を比較することです。この手のインデックスとしては、たとえばMSCIオールカントリーワールドインデックスが参考になるでしょう。コロナショックを例にとると、同インデックスは2020年2月14日から3月20日までの間に32.09%下落しました。

では、グローバル分散投資型の株式投資信託はどうでしょうか。一例としてセゾン投信が設定・運用している「セゾン資産形成の達人ファンド」の基準価額を見てみましょう。同ファンドの基準価額は、2020年2月14日が2万4,186円で、3月23日が1万7,225円です。この間の下落率は28.78%ですから、とりあえず株価インデックスに対して下落率は小さく抑えられています。

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