はじめに

補助金・助成金・給付金はどう違う?

補助金・助成金とひとことで言っても、その種類や目的はさまざまです。同じような言葉で混同されがちですが、補助金、助成金の他にも給付金という助成制度もあります。

これらはそれぞれ特徴が異なっています。まずは頭の中で整理しておきましょう。

1.補助金
起業促進、地域活性化、女性・若者の活躍支援、中小企業振興、技術振興などの施策を目的として、経済産業省が行う補助金。それぞれの補助金ごとの募集要件を満たしたうえで応募し、審査を通過することが必要です。

合格率(採択率という)は補助金によって異なり、数%~90%程度まで幅があります。また、同じ補助金でも、数回に分けて募集することがあり、回により採択率に変化がみられるのが特徴です。

【過去の例】
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・事業承継補助金
・ものづくり補助金 など

2.助成金
雇用維持、雇用促進、労働者の職業能力向上などの施策を目的として、主に厚生労働省が実施する助成金。経済産業省系の補助金とは異なり、助成金ごとの要件を満たしていれば、審査員の審査で落とされるという概念がないのが特徴です。

基本的には「雇用」に関連する助成金であるため、新たに人を雇用する計画などがあるとき、事前にチェックしておきましょう。

【過去の例】
・雇用調整助成金
・トライアル雇用奨励金
・キャリアアップ助成金 など

3.給付金
緊急的に国や自治体などが給付するお金のこと。一刻でも早くお金を給付することを最優先として設計されるため、補助金や助成金と比べて、要件も提出する書類の数や内容も極力簡素化されているのが特徴です。常にあるものではなく、例えば新型コロナウイルス感染症の感染拡大期といった有事の際に、補正予算などで緊急的に実施される施策です。

【過去の例】
・持続化給付金
・特別定額給付金

補助金・助成金を活用するときに絶対に知っておきたいこと
補助金や助成金を上手に活用したいとき、絶対に知っておきたい注意点があります。必ず押さえておきましょう。

・完全後払い
補助金・助成金は基本的には完全後払い制です。つまり、国や自治体が「はい! このお金を使ってくださいね!」といって最初にお金を渡してくれるのではないとお考えください。

そのため、手持ちキャッシュや銀行融資など、「財務」との関わりが非常に重要となります。補助金・助成金を活用するときには、会社全体の財務の話と切っても切り離せないことを認識してください。

・情報収集が大切
情報収集を怠らないこと。補助金や助成金の存在を知り、適切なタイミングで適切な手続きをしなければ、受給できないからです。関係省庁のホームページをこまめにチェックしたり、補助金・助成金に詳しい専門家に相談したりするなど、まめな行動を心がけましょう。

・準備を怠らない
さらには、迅速に行動することです。補助金や助成金は国が予算の枠内で募集するものです。機を逃さないようにすばやく準備をして、いつでも申し込める状態にしておきましょう。

・ムリに受給しない
最後に非常に重要なことを述べます。ムリに受給しようとして経営をゆがめてしまえば「本末転倒になる」という事実です。補助金・助成金がないものとして経営判断をし、たまたま要件に当てはまっているなら有効活用する──。そのくらいの感覚を持ちたいものです。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介