はじめに

より多くの補助金・助成金を受給するためのテクニック

中小企業が経営を進めていくにあたり、国や自治体の支援をうまく活用するのはライバルに差をつけるために有効な手段です。

特に、補助金や助成金、融資など、手元キャッシュや投下資金を増やせる効果が高い施策をうまく利用し、時代の波に乗るのが必勝セオリーともいえます。1つでも多くの支援策を活用したいところです。

そこで知っておきたいのが、対象経費がカブる複数の補助金・助成金は受給できない「併給調整」の考え方です。

例えば、ある時期の社員Aさんの給料を○○補助金の対象経費として補助金を受給しようと考えたとします。ところが、同じ時期に▲▲助成金でもAさんの給料を対象とした助成金を受給していたことがわかりました。この場合、制度上、○○補助金と▲▲助成金の対象は同じ経費のため、「併給調整」の対象として認められないわけです。

この場合は、Aさんの給料を、どちらの対象経費として受給するのが有利か、事前に見極める必要があります。場合によっては○○補助金ではAさんの給料を対象経費にせず、広告費を対象経費にすれば受給できる可能性もあります。

つまり、そうした判断をすることにより、○○補助金と▲▲助成金、どちらも満額受給できる可能性が出てくるわけです。

また、補助金や助成金によっては、1社で何度も受給できる可能性もあります。例えば、2019年と2021年など、同じ会社が同じ補助金で複数回採択される可能性もあるのです。

ただ、こうした判断をするには、経済産業省系の補助金、厚生労働省系の助成金、自治体の補助金など“串刺しした情報”を持ち、全体を俯瞰した幅広い知識が必要です。

著者プロフィール
中野裕哲(なかの・ひろあき)
経営コンサルタント、起業コンサルタント®、事業再構築コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®、一級ファイナンシャルプランニング技能士)。
V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル株式会社、経営戦略研究所株式会社)。経済産業省認定支援機関。
経営者支援をライフワークとし、経営全般を窓口1つでまるごと支援する。「経営支援を通して、この国を挑戦者であふれる国にしたい! 日本を元気にしたい!」という理念のもと、年間約300件の経営相談・起業相談を無料で受け、多くの経営者を伴走支援している。また、北海道から沖縄まで、全国のクライアントを指導し、経営者が困ったときの経営全般の駆け込み寺の役割も果たしている。

「事業の再構築」を考えたときに読む本 中野裕哲 著

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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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