はじめに

1)賃料を下げてリタイアに向けて貯蓄をしながら生活する

65歳以降に必要な生活費について試算してみましょう。仮に65歳以降の住居費を今よりの家賃を抑えて7万円/月程度と考えると、先述の平均生活費に5.5万円程度上乗せされる計算になるため、ご相談者の年金収入との差額が7万円になります。仮に月額7万円を65歳から90歳までの25年間取り崩すとすると、

7万円/月×12カ月×25年=2,100万円

となり、65歳までに約2,100万円貯蓄する必要があるということになります。

現状、お子さまが大学に通学中の年間貯蓄が34万円/年です。現行家賃が11万8,000円なので住み替えにより約4万8,000円/月下げられれば、年間約90万円の貯蓄ができます。大学卒業まで3年間あるので、約270万円貯蓄できる計算になります。大学卒業後の53歳から65歳までの12年間で約1,830万円を貯蓄すると考えると、年間150万円の貯蓄が必要となります。奨学金の返済も行おうと考えると、それに合わせて生活費を落とす必要があります。

2)65歳までに完済できる物件を購入して、リタイア後の住居費負担を軽減する

では、購入する場合を考えてみましょう。

65歳以降に住宅ローンが残っていると返済が厳しいので、今からリタイアまでの15年で完済できる額でローンを組む必要があります。仮に、現状の家賃負担に金額を合わせて考えます。

借入金額:1,800万円 金利:変動0.45% 期間:15年 月々返済額:10万3,431円

管理費などを考慮すると、上記金額が目安になってきます。

もし1,800万円くらいの中古マンションがあれば、今の家賃と変わらず購入が可能です。この場合、65歳以降はローン負担がなくなりますが、管理費やリフォーム費用は考えておく必要があります。

中古マンションを購入したほうが将来の負担を軽減できそう

今回、2つのパターンを考えてみましたが、長生きすることを考えると、中古マンションを購入したほうが、将来の負担を軽減することができそうです。管理費負担やリフォーム費用の準備をしっかりと行うことができれば、安心した老後の生活が可能だと思われます。

なお、子どもの奨学金の返済をどのようにするかによっても計画が変わってきます。お母様の介護の状況や、ご相談者がパートが可能かによっても打てる対策は変わってきますので、随時修正を行いながら、その時の最適な対策を考えていくことが重要です。

ご自身の今の生活や老後の生活費を抑えてでも奨学金返済を行うのかなど、優先順位を考えた上で、それに合わせたシミュレーションを作成しましょう。

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