はじめに

パートナーが介護になった時のことも考えておく

ご相談者さんの収入が極端に下がったり、健康問題などが発生したりしなければ特に問題はないと思いますが、問題が起こるとすれば、パートナーの方が病気や介護になった時です。特に高齢化が進んでいる今、介護状態になる確率は、80歳以上では、約9割以上となっています。

もし、パートナーの方が介護状態となった場合、基本的に介護費用についてはパートナーの方の年金や資産から賄うことになると思いますが、資産がほとんどないなどのケースでは、ご相談者さんが介護費用を負担することも考えておく必要があります。

では、実際、介護になった場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。

在宅介護にかかる費用は、訪問介護やデイサービス、福祉用具などの介護保険サービスの利用にかかる費用と、医療費やおむつ代などの介護サービス以外の費用があります。利用者の要介護度や介護期間によって費用は違ってきますが、目安になる費用をみてみましょう。

公益財団法人生命保険文化センター2021年「全国生命保険実態調査」によると、在宅の場合、住宅改修や介護用ベッドの購入などにかかった一時費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、平均74万円、月々の費用(自己負担分)は、平均8万3,000円、介護期間は、平均61.1カ月となっています。

単純に計算すると、在宅介護にかかる費用の総額は、平均で約588万円となります。介護の期間が延びれば延びるほど負担は増えていくので、介護の費用をどうするのかについてはきちんと確認しておくことが大切です。

おひとりさまの老後はいくらかかる?

また、パートナーの方との年の差を考えると、その後、ご相談者さんがお1人で暮らす期間が長いので、ご相談者さんの老後の費用についてもしっかり考えておく必要がありますね。

では、老後はどれくらいの資金を準備しておいたら良いのでしょうか?

ご相談者さんの今後のキャリアプランにもよりますが、ひとまず、60歳までは働ける見込みとのこと仮に60歳で仕事を辞めた場合には、年金が支給される65歳までの5年間は無年金になります。11年後のことなのでどうなっているかわかりませんが、ここでは、計算を単純にするために、60歳時点でシングルの生活を送るとして試算してみます。

無年金の期間の生活費は、現役時代の7掛けとして毎月16万円(23万円×0.7)と仮定します。そうすると、16万円×12カ月×5年間=960万円となります。

次に65歳以降の生活費ですが、生活費を試算するにあたり、現在の高齢者の方たちのデータが参考になります。総務省の家計調査報告(2019年)によると、現在の高齢無職世帯(正社員で働いてきた人)が受給している年金額はシングル世帯で約12万4,000円。この収入に対して、支出はどうなっているかというと、シングル世帯では、15万2,000円となっており、毎月約2万7,000円の赤字がでているという結果に。

ただし、上記の生活費は、衣食住の基本生活、かつ持ち家を前提とした金額です。住居費用を見ると、全体の支出の9.2%となっており、金額にすると約1万4,000円です。ですから、ずっと賃貸暮らしということになれば、住居費はもっとかかるとして試算する必要があります。

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