はじめに

祖母より先に父が亡くなったことにより事態が複雑に

時が経ち令和2年11月25日、祖母に先立ち、猛さんの父親、勝さんが亡くなりました。勝さんが亡くなった際の相続人は、勝さんの配偶者(猛さんの母親)と猛さんの2人で、問題なく遺産分割協議を終えることができました。

祖母が亡くなったのは、その1年後の令和3年4月30日でした。祖母の相続手続きをする際に金融機関で言われたことが「猛さんは祖母の相続人ではない」ということでした。

被相続人(亡くなった人)の子どもが相続開始前に死亡していた場合、その子どもが代襲相続することはご存じの方も多いでしょう。

今回のケースを当てはめると、被相続人(祖母)の子ども(勝さん)が相続開始前に死亡していた場合、その子ども(猛さん)が代襲相続人になるということですが、養子縁組によって子どもになった場合、注意が必要です。

養子縁組のタイミングによって相続が変わる

民法では、被相続人の子どもであっても「被相続人の直系卑属(※)でない者」につき代襲相続を否定しています(民法887条2項但書)。

そこで、養子(勝さん)の子(猛さん)が「被相続人(祖母)の直系卑属でない者」にあたるのかが問題となります。

これは大審院(旧憲法下で最高の司法裁判所)での判決があります。そこには、
(1)養子縁組前に生まれた養子の子は、養子の親との間に何ら血族関係はない。
(2)養子縁組後に生まれた養子の子は、養子の親と血族関係になる。
とあります。

猛さんが生まれたのは昭和50年5月3日、猛さんの父、勝さんが祖母と養子縁組を行ったのは平成23年7月1日でした。上記(1)に当てはまり、養子縁組前に生まれた養子(勝さん)の子(猛さん)は、養子の親(祖母)との間になんら血族関係はない。ということになるのでした。

祖母に子どもがいないということで勝さんを養子にしたところまでは良かったのですが、年齢から、祖母が先に亡くなる前提に誤算がありました。人の寿命は順番にはいきません。養子の勝さんが先に亡くなったことで結果的には祖母のきょうだいが相続人になってしまったのです。

※直系卑属とは、子・孫など自分よりも後の世代で直系する系統の親族のことで、養子も含まれます。

どうすればよかったのか?

ではどうすればよかったのでしょうか。

祖母の相続対策のために勝さんを養子にすると決めた際に、どのようなことが起こりうるか、メリット、デメリットを相続の専門家に確認することです。一見養子縁組すると安心と思いがちですが、今回のケースにように養子縁組した日と、養子の子の生まれた日で明暗を分けることになりかねません。

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