はじめに
「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。
そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。
今回は、使う頻度の高い助詞「は」と「が」の使い分け方についてです。
既知の情報」か? 「未知の情報」か?
主語のあとに用いる助詞の「は」と「が」。両者の使い分けで迷った経験がある人も多いでしょう。「は」と「が」の使い分けには、いくつかのポイントがあります。
1つめは、主格となる名詞が既知の情報(=すでにしていること/わかっていること)なのか、未知の情報(=知らないこと/わかっていないこと)なのか、その違いによる使い分けです。
<例文1:既知の情報の場合>
小林さん は 学生です。
<例文2:未知の情報の場合>
小林さん が 学生です。
例文1は、書き手が小林さんのことを知っている状態(=既知の情報)です。そのため、助詞に「は」を用いました。一方、例文2は、学生が誰であるのか知らない状態(=未知の情報)なので、助詞には「が」を用いました。
少し別の角度から説明をしましょう。例文1は「小林さん(という既知の人)の立場は何ですか?」の答えであり、例文2は「学生(未知の人)はどなたですか?」の答えです。このように、文章の裏に隠れている質問を考えてみると、その文章の主格が「既知の情報」か「未知の情報」か、を見極めることができます。
ちなみに、結果的に例文1は述語(「学生です」)を、例文2は主語(「小林さんが」)を強調する文章になっています。どちらも、“読者が知りたい情報”に光を当てた文章と言えます。