はじめに

期待の裏側にあるハイリスク

ただ、同じ新興国でも思ったほどに経済が成長せず、投資成果も低迷しているケースがあります。新興国だからといって一様に高成長が期待できるというものではないのです。この点には留意しておく必要があります。

たとえばブラジル。BRICsの一角に含まれ、2003年当時は将来を嘱望された国でしたが、この20年間、経済は低迷続きでした。2010年のGDP成長率は7.53%まで上昇したものの、その後は大幅に成長率が鈍化しています。しかも2015年は▲3.55%、2016年は▲3.28%と2年連続でマイナス成長になったばかりか、2020年は▲4.06%まで落ち込みました。

当然、ブラジル株式市場に投資する投資信託の運用成績も振るっておらず、過去10年のリターンは年率で▲2~4%となっています。仮に▲2%としたら、この10年間で投資元本が20%目減りしたことになります。

もっとも、ブラジル株式市場に投資する投資信託の運用成績が悪いのは、株価の影響よりも、どちらかというと為替レートの影響が大きいと思われます。2012年1月時点のブラジルレアル/円のレートは、1ブラジルレアル=45円前後で推移していましたが、2022年1月時点では1ブラジルレアル=20円程度まで円高が進みました。

ブラジルレアルが対円で下落している理由は、物価の上昇率が高いからです。2010年以降で見ても、年率5~6%の上昇が続き、2015年には9.03%になりました。物価が上昇すれば通貨価値が下がるため、通貨には下落圧力がかかります。

トルコ投資も同様です。かつてトルコの経済成長が期待された時、トルコの株式市場に投資する投資信託の運用成績が急騰しましたが、ここ数年は高インフレの影響でトルコリラが急落しており、それが投資信託の運用成績に悪影響を及ぼしています。

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