はじめに

失敗に学ぶ。避けておきたい副業とは

先ほどの三つの事例がなぜ失敗したのかを、考察していきましょう。

「出オチくん」については、業務の指示が本業だけではなく、副業のクライアントからも飛んでくる状態になってしまい、常時追われる状況から脱することができなくなってしまいました。納期に一定の理解のあるクライアントを見つけられるとよかったのですが、副業を始めたばかりのため、クライアントを選べる立場ではありません。

結果として、本業の集中力をそがれる副業を選択してしまい、精神的に疲弊してしまいました。

「こつこつ忍耐くん」は、アルバイトであるがゆえ、業務の内容はルーティンワークが大半です。成長実感の得られない副業を選んだため、物足りなくなってしまい、続けられなくなりました。

「あと一歩くん」は、自らのビジネスアイデアで収益を確保し、成長実感も獲得できました。ここまでは非常によかったのですが、本業として挑んでくる強敵の登場で、しょっちゅう市場価格を注視しなければならない日々に。価格競争が激化し、最終的に勝ちきれず、利益なき繁忙に突入してしまいました。

これら三つの事例は、ともに外部環境によって淘汰されてしまい、副業構築に失敗しています。環境によって淘汰されてしまいやすい要因の例と対策を、本業に起因するもの、副業に起因するもの、両方に起因するものとして、下記の図で整理しています。

まず、両方に起因するものとしては、時間確保が困難になるという点です。本業と副業は、ときに時間を食い合う状況になることがあります。つまり、本業と副業は時間配分上のトレードオフの関係になっているのです。対策としては、時間配分のグリップを他人に握られない副業を選ぶことが必要です。

次に、本業起因の部分については、本業における各ステークホルダー(利害関係者)との調整が挙げられます。本業の職場の理解と協力まで得る必要はまったくありませんが、隠さねばならない副業は余計なエネルギーを消費させます。

「今日、○○の件、急遽お願いできないかな?」というリクエストに、「どうしても外せない予定があって……」を何度も繰り返すわけにはいきません。副業開始後、ある程度の時間が経っているとしても、人に言えない副業は継続しないほうが望ましいでしょう。

副業起因の部分については、本業に加えて、副業におけるステークホルダーとのコミュニケーションコストが肥大化しないよう、時間などの主導権をある程度は自分で持てる副業を選択することが挙げられます。また、楽しくない副業の場合、継続性が持ちづらくなるため、成長実感が得られるようなやりがいのある副業を選びましょう。

最後に、ある程度の副業の構築ができたとしても、利益なき繁忙に突入して疲弊していては意味がありません。副業の強みを利用し、競合が発生しづらいビジネスを構築していきましょう。

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