はじめに

企業型確定拠出年金に加入している750万人にiDeCo併用加入のチャンス

これまでは一部の会社を除き、お勤め先で企業型確定拠出年金に加入していると、iDeCoへの併用加入は認められませんでした。企業型確定拠出年金は、会社が掛金を拠出してくれるので、自分のポケットマネーを拠出するiDeCoより有利な反面、せっかくの税制優遇枠を使い切れないというデメリットもありました。

それというのも、会社が拠出する掛金の多くは1万円未満という統計もあり、特に若い方や社歴が短い方の掛金が十分ではないことが指摘されていました。企業型確定拠出年金は、法律上月の掛金拠出額が55,000円を上限としているのですが、実際この税制優遇の恩恵をフルで受けられている人は少ないのです。

そこで、2012年にマッチング拠出という制度が新設され、会社が拠出する掛金に加え、個人も掛金を拠出できるようになりました。しかし、マッチング拠出では個人の掛金は会社の掛金額を上回ってはいけないというルールがあるため、魅力的な制度ではないと判断されたのか、それほど多くの会社に採用されませんでした。

その後、企業型確定拠出年金に加入している人でも、iDeCoに併用加入ができるように法律が変わったのですが、会社がそれを認めた場合に限るという条件があったので、やはりなかなか普及しませんでした。

そこで2022年10月からは「会社のルールに関わらず」個人の判断でiDeCoに併用加入することができるように変更されます。掛金の上限は月20,000円でかつ会社の掛金との合計が55,000円を上回らないことが条件です。なお、確定給付企業年金(DB)もある場合は12,000円でかつ会社の掛金との合計が27,500円となります。

会社にマッチング拠出制度がある場合、iDeCo併用とどちらかを選びます。例えば、会社の掛金が1万円であれば、マッチングできる個人掛金は1万円が上限ですが、iDeCo併用なら2万円まで拠出できるので、掛金面でのメリットは後者の方が大きくなります。


選択肢が広がると、なにが自分にとって良いのか迷う方も増えるかと思いますが、専門家に相談するなどして、制度をしっかり活用していただきたいと思います。

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