はじめに
「できない」から「嫌い」になる
子どもは楽しいことは前のめりにできますが、楽しくないことはできません。考えるなんてことは最初からはできないのです。
だから結果的に、小1の子どもたちは、授業を受けるだけだと自然に「勉強ができない」状態に、そして「できないから嫌い」な状態になってしまうのです。
これに加えて、いまはお母さんたちも「できない」ことに敏感です。勉強しなさい、教科書読みなさいと、苦手なことをがんばらせようとする。しかしそれは、「勉強嫌いな子」をつくるだけです。
子どもにとってお母さんの言葉は絶対なので、「やりなさい」「どうしてできないの」を聞いているうちに、「できない自分」を装いはじめます。「どうして(できるのに)できないの?」と怒られるのはつらいじゃないですか。それよりは「できないけれど、仕方ないわね」とあきらめられたほうが、子どもにとっては楽なんです。
だからいま、できない子が増えている。僕はそう考えています。
できない子をなくすことは可能
ただ、僕は「できない子」をなくすことは可能であることも知っています。学力が低いといわれている学校を何校も変えてきましたし、「できない子」といわれていた子を「できる子」に変えてきたからです。僕の40年の集大成である隂山メソッドは「できる子」を増やすメソッドでもあるのです。
僕が特別授業をする前に、子どもたちによく言う言葉があります。「できるようになるから」って言うんです。誰に対してもです。
これは意味があって、僕が「できるようになりますよ」と言ったら、子どもはついうっかり、「なりたいな」と思っちゃうんです。
子どもはみんな、前向きです。みんな「できるようになりたい」という気持ちを心の奥底に持っているので、そこに火をつけたら本当にできるようになるんです。この技法を、世の中のお母さんにも知ってほしいと思っています。