はじめに

皆さんは「お金の扱い方」を誰かに習ったことがありますか? 学校の授業で経済の仕組みや歴史は学んでも、お金の使い方は「自分の経験=自己流」と言う人がほとんどではないでしょうか?

誰も教えてくれなかった「お金の正しい扱い方=お金の教養」を身につけてさえおけば、将来の不安が減り、仕事に集中できる環境が整い、給料の増減に一喜一憂しない。そんな理想的な状況を作り出すことも可能だといいます。

特に社会人になって間もない若者や、いつまでたっても貯金ができないという方にとっては、重要なスキルです。

そこで東京・大阪・ニューヨークでファイナンシャルアカデミーを運営し、これまでに30冊・累計130万部の著書を出版しているお金のプロフェッショナル・泉正人氏に編集部が話を聞いてみました。

後編のテーマは「貯金の仕方」。 誰でも計画的に貯金ができてしまう、目からウロコの法則も紹介します。前回の記事はこちら


教養⑤:「収入―貯蓄=支出」という考え方にシフト

-- 「お金が貯まる仕組み」とは、一体どんなものでしょう?

泉: 私は、貯金はダイエットのようなもので、「意志の強さに頼る方法」は失敗すると考えています。ダイエットでいえば、移動に使っていた自転車を友人に譲り、目的地まで歩く習慣を作り出すようにする。つまり、必然的にダイエットしなければならない「仕組み」を作るほうが近道なのです。

-- なるほど。これを貯蓄に当てはめると、どうなるのでしょう?

「いつまでに、いくら貯蓄する」という、目標となる期間と貯蓄額を決めてしまい、そこから逆算することで、毎月貯蓄すべき金額が分かると思います。その金額を、給料日に貯蓄口座に入れてしまってから、残ったお金で生活する仕組みを作る。つまり、「収入―支出=貯蓄」ではなく、「収入―貯蓄=支出」という考え方にシフトするのです。貯蓄ができるかできないかは、収入の多い少ないにまったく関係がないのです。

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貯蓄せざるをえない仕組みを作る。

教養⑥:「2:6:2の法則」で誰でも貯蓄できる

-- 貯蓄ができる、理想的な目標額などはあるのでしょうか?

私は貯蓄を考えるうえで、かねてから使ってきたのが「2:6:2の法則」です。

-- 「2:6:2の法則」?!それって何ですか?

収入の2割を貯蓄に、6割を生活費に、残りの2割を自己投資のために使うというものです。例えば、収入が20万円なら、4万円が貯蓄、12万円が生活費、4万円が自己投資という割り当てになります。もし、これまで一度も計画的に貯蓄できたことがなかったのなら、ぜひこのルールを試して欲しいです。

-- つまり毎年、年収の2割の貯蓄が増えていくワケですね。これが習慣化できれば、5年で年収分の貯蓄ができる。

収入によらず使えるので、私はずっとこの方法で貯蓄を続けています。

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2:6:2の法則で計画的に貯蓄

教養⑦:資産運用について考えよう

これまで、貯蓄をするための方法を案内してきましたが、実は、これからの社会を生きるうえでは不十分です。それは、銀行の金利がほぼゼロ。

さらに、収入が右肩上がりに上がるわけではない時代に状況が変化したからです。リストラや給与カットも当たり前の時代に、例えば老後30~40年間を貯蓄と年金で暮らしてゆくのは、身震いするほどの話です。

-- 収入源を会社からに絞るのは、何かと不安ですね。

はい。「資産運用なんて自分には一生関係がない」と思わず検討してみましょう。その時期は、早ければ早いほど良いでしょう。今や、貯蓄しているだけのリスクのほうが高いかもしれません。

「お金の教養」を身につければ、お金の見えない価値がわかる

-- 今回、「お金の教養」を厳選して7つ、紹介していただきました。改めて、これを身につけるとどんなメリットがあるのでしょうか?

単なる節約だけをOKとするのではなく、お金をケチることで生じるリスクも想像できるようになれば、本当の価値を見抜くことができるようになります。

そして、これはビジネスでも大いに役立ちます。プレゼンや商品開発、営業の場で「TPOに応じた、値段だけではない本当の価値を相手にアピールできるようになる」からです。そして、「お金の教養」を身につけていくことで、学歴や会社に依存しない、個人の資産や信用を高め本当に豊かな生活が待っているのです。


学生時代に習ってくることのなかった「お金の教養」。逆に言えば誰もがスタートは横一線。決して遅すぎることはありません。正しく学べば周りの人たちに差をつけられるかもしれませんね。

泉正人氏の著書一覧

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