はじめに

メタバースの発展で重要なのはセンス・オブ・プレゼンス

メタバースには次の三つのロードマップがあります。

(1)世界中のゲーマーを取り込めるか
(2)タブレットやPC市場(職場や学校)を取り込めるか
(3)ポストスマホ(ARグラス分野)

まずはゲームで切り拓いていって、そこで経済圏を回しつつオフィス分野や教育分野に参入する、そして今後リリースされる予定の使用感の良いARグラスが普及し、その後一般の人にも浸透していく流れになります。

コロナ禍でリモートワークは定着しつつありますし、大学もオンライン授業が増えている、そこで見えた課題としてあるのが「コミュニケーション」です。今後作りたいものがバーチャルファーストの完全なるメタバースをゴールとすると、そこに登るために必要なのがメタバースとWeb3です。

メタバースで決定的に重要なのが「センス・オブ・プレゼンス」=実在感。いま、そこに「いる」感じです。

センス・オブ・プレゼンスがメタバースになぜ重要かを、Zoomを例に説明します。オンライン会議を通じて私たちが気づいたのは、何がZoomで十分で、何がリアルのほうがいいかということだと思います。ちょっとした打ち合わせだとZoomなどオンラインでいい。

でも、少し前に流行った「Zoom飲み」をいまやっている人はほとんどいませんよね? 

やはり食事をしたりお酒を飲んだりするのにZoom越しって楽しくないよね、と気がついたからです。ここを解決することがバーチャルファーストでは重要になってきます。

Zoomだと、「そこにいる感じがしない」。この実在感を作るために重要なことは次の二つです。

(1)レゾリューション(解像度)
(2)レスポンス

 レゾリューションはとてもシンプルで、2Dでも画質がよくなればよくなるほど、そこにいる感じがします。ゴールとして、「片目で4Kずつの解像度」が実現するとバーチャルとリアルの区別がつかなくなるといわれています。これはハードウェアのスペックが上がれば解決できる課題です。

二つ目に重要になるレスポンス、これはZoomで会話がかぶったり、お互いが無言になってしまう、というアレです。これはリアルなコミュニケーションではあまりないですよね?
 
なぜZoomだと起こるかというと、インターネットは意外と遅いため、リアルタイムで情報が入ってこない。そのため話しているバーバル(言葉を使う)な内容は理解できるけれども、うなずいたり、まばたきしたり、表情がリアルタイムで伝わってこないことに起因しています。

人の会話のかなりの部分はノンバーバル(言葉を使わない)のところにあるため、そこがうまく伝わらないから「いる感じ」になっていない。新しい「Oculus Quest(オキュラスクエスト)」など最新のVRヘッドセットでザッカーバーグがこだわっているところですが、かなり正確にまばたきだったりうなずきだったり、表情など表現できるようになりつつあります。ただ正確なトラッキングまでは行われておらず、一見そのように見せているだけですが近い将来登場するハードではトラッキングできるようになるといわれています。これがリアルタイムに表現できるので、本当に「そこにいる感じ」というのがでるのです。
 
なぜこれが重要かというと、バーチャルファーストの世界を作ろうとしたとき、その中で「仲良くなる」とか「好きになる」といった人間関係の構築が必要になってきます。それにはバーバルだけでなくノンバーバルなところで「この人が好き」とか「この人はいい人」と感じられることが重要になると思います。「ビビッときた!」という感覚もノンバーバルのところで起こりますよね。身振りや手振り、表情なども含めて判断する、だからリアルで一緒にお酒を飲む方がZoom飲みよりも楽しく感じる。

センス・オブ・プレゼンスは2Dだと限界がありますが、VRなどのメタバースが作ろうとしているのはまさに、「そこにいる感じ」で、これが実現することでバーチャルだけどリアルと変わらない人間関係が作れるようになってくるのです。

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