はじめに

いい加減な知識だと損するケースも

なんとなく知っているけど、あやふやな知識でいい加減に対策していると、せっかく控除の対象になっていたのに、うっかり控除を逃すこともあります。

例えば、医療費は10万円を超えた部分が控除とよく言われています。「10万円に届かなかった、残念〜!」という声もよく聞きますが、実は所得が少ない時(もうけ部分が200万円未満のとき)は10万円に満たなくても控除が受けられるチャンスがありますし、病院までの交通費やドラッグストアで買った医薬品など、控除の対象となるものを入れ忘れているケースもあります。

また、扶養控除や配偶者控除についても、38万円(一般の控除対象配偶者の場合)の控除を受けたいからと、慌てて12月分のパートを休んだのに、あやふやな知識でいい加減に調整したので、結局休んだ12月分のパート代は1月に振り込まれたので控除を受けられなかった、という話もよくあります。38万円の控除が飛んでなくなってしまうのです。

この「38万円の控除」を使えると、いったいいくらお得なのでしょうか? 住民税は扶養の控除額が33万円で税率は一律10%なので、33,000円とすぐに計算できます。所得税においては、38万円 × 税率分の税が減額になります。

さて、ここで問題です。皆さんは自分の所得税の税率が何%かご存知ですか?

「はい、20%です!」など、自分の税率を答えられる人はほとんどいないと思います。手取り金額を左右する重要な数字なのに、なぜでしょうか?

所得税の税率の仕組みを知る

それは、所得税の税率が「超過累進税率」という階段式に変動する税率だからです。「ちょうか・るいしん・ぜいりつ」と区切って読みますが、漢字が並んで難しいですね……「超かる〜ぅい♪」じゃないですよ!

「超過」つまり、その金額を超えた部分について、税率が上がるということです。階段を上がっていくように、ボーダーラインを超えた分ごとに税率が上がり税金が徐々に増えていく方式なのです。

※出所:国税庁「No.2260 所得税の税率」

税額を求める際、計算2で「課税される所得金額 × 税率」とお伝えしましたが、正確にはここから課税される所得金額に応じた控除額を引いた金額となります。例えば「課税される所得金額」が7,000,000円の場合には、求める税額は「7,000,000円×0.23 - 636,000円= 974,000円」となります。この税率は課税される所得金額、つまり先ほどの所得税を計算するときの計算1で求めた「税金がかかる分」の金額によって変わってきます。

この場合、配偶者控除の38万円があれば、所得金額は662万円になるので「6,620,000円×0.20-427,500円= 896,500円」となり、77,500円の所得税が安くなります。住民税の節税分33,000円を加えると110,500円の減額になります。控除のルールを知らずに11万円も多く税金を払っていたと思うと、「なんて……嘆かわしい!」でしょう?

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