はじめに
良くも悪くも「企業文化」にふさわしい人が集まる
さらに言えば、「社員のやる気を高める」というのは、単に個人のモチベーションがアップすることで、生産性が高まるためだけではありません。その会社の働き方は、ひいては企業文化へとつながるからです。
企業文化には、大きく2つの力があります。1つは、違うタイプの人をも、いつしか同じような考え、行動に染めてしまう力です。もう1つは、磁石のように、似たタイプの人々を引き寄せる力です。
仕事の質や生産性が高い組織は、社員が自由に発言し、自分の意志で行動しています。このような会社は、「働きがい」を実感しやすいはずです。
一方、仕事の質や生産性が低い会社は、「やってもやっても仕事の充実感を感じられないこと」が多く、組織は停滞し、人も疲弊して、モチベーションが下がっています。
良くも悪くも、その会社には、その組織文化にふさわしい人たちが集まり、残るのです。
モチベーションの高い集団は、難易度の高いことにも前向きに取り組もうとする「やる気に満ちた人」たちを引きつけます。
一方、モチベーションの低い集団は、「やる気に満ちた人」を排除します。「やる気に満ちた人」がいると、自分たちがその人と比較されてしまうので困るのです。同じことをするように強要されるので困るのです。このような会社では、「やる気に満ちた人」は疎まれ、居づらくなります。
たとえ、やる気を持ち続けていても、やってもやらなくても評価が大して変わらない環境に虚しさを感じ、場合によってはその会社を辞めてしまうことも。
いくらモチベーションの高い前向きな人を補充すべく採用しても、定着せず、しばらくすると辞めてしまうか、他の大勢の社員と同じようなカラーに染まってしまいます。
この繰り返しで、いつしか、会社にいる人たちは、言われたことをただこなすだけの、主体性とはほど遠い、受け身の集団になってしまうのです。