はじめに

モチベーションの高い会社と低い会社の二極化が起こっている

モチベーションの高い会社と低い会社では、それぞれ同じようなタイプの人が集うことにより、「やる気のある集団」と「やる気のない集団」の二極化が進みます。

一度負のスパイラルに陥った会社は、抜け出すのは容易ではありません。当然、「企業力」の差はどんどん開いていくのです。

あなたの会社の多数派はどちらのタイプですか? もしも負のスパイラルに陥っているようであれば、一刻も早く負のスパイラルを断ち切らなければなりません。そして、最終的には正のスパイラルを生み出すのです。

そのためにも、今のあなたの組織は、たとえば次のどのような状態かを把握することが重要です。

1. モチベーションを下げる要因ばかりの「明らかにマイナスな状態の会社」
2. モチベーションを下げる要因を取り除こうとしている「マイナスからゼロに向かっている会社」
3. モチベーションを上げるべく取り組んでいる「ゼロからプラスに向かっている会社」
4. モチベーションが高い状態を維持するために工夫を重ねる「恒常的にプラスの状態の会社」

それぞれのステージで、取り組むべき内容も、もたらされる成果も大きく異なります。

総じて言えるのは、まずモチベーションをいかに下げないか。それができたらプラスのスパイラルに向かうために、どうすればモチベーションが上がるのか。このようなモチベーションに対する取り組みが、「企業力」と直結するのです。

もし今あなたの組織のメンバーが、いまいち「やる気」がないと感じているならば、まずそれは自分自身の問題か、それとも組織に起因するものか、今一度見つめ直してみてください。


松岡保昌(まつおか やすまさ)
株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。1963年生まれ。1986年同志社大学経済学部卒業後、リクルートに入社。『就職ジャーナル』『works』の編集や組織人事コンサルタントとして活躍後、2000年にファーストリテイリングにて、執行役員人事総務部長として当時の急成長を人事戦略面から支える。その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として逆風下での広報・宣伝の在り方を見直し新たな企業ブランドづくりに取り組む。2004年にソフトバンクに移り、ブランド戦略室長としてCIを実施。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役として球団の立ち上げを行う。また、AFPBB News編集長として、インターネットでの新しいニュースコミュニティサイトを立ち上げる。現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。筑波大学大学院 人間総合科学研究科 生涯発達専攻カウンセリングコース主催「キャリア・プロフェッショナル養成講座」修了。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、個人のキャリア支援やキャリアコンサルタントの指導育成、企業内キャリアコンサルティングの普及にも力を入れている。著書『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)。

こうして社員は、やる気を失っていく 松岡 保昌 著

こうして社員は、やる気を失っていく
会社や上司は社員のモチベーションを高めることにばかり意識が向きがちだが、まずやるべきは「モチベーションを下げる要因(やってはいけないこと)」を取り除くことである。とくに最近の若手は、やる気をそぐようなことをしなければ自然と前向きに仕事に取り組んでいく。「社員がやる気を失っていく」には共通するパターンがあり、疲弊する組織や離職率の高い会社の「あるあるケース」を反面教師に、改善策とともに解説する。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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