はじめに
国民年金の受給金額(2020年度)
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和2年度)より(株)Money&You作成
令和2年度(2020年度)の国民年金の満額(月額)は6万5,141円だったということもあり、男女とも「6~7万円」がもっとも多いのですが、満額に満たない「6万円以下」の方も相応にいることがわかります。言い換えれば、何らかの理由で国民年金保険料を納めていない期間のある人は、意外と多いのです。
国民年金保険料には「免除」「納付猶予」の制度も
国民年金保険料は、自営業やフリーランスといった第1号被保険者はもちろん、リストラなどで仕事を失った場合でも納める必要があります。
国民年金保険料の支払いが厳しいときには、申請することで「免除」や「納付猶予」を受けることができます。以下、主な免除・納付猶予の制度を紹介します。
【免除】
保険料免除制度
収入が減ったり失業したりして、国民年金保険料の支払いが難しいときに、保険料が全額免除もしくは一部免除になる制度です。免除される金額は、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があります。
全額免除・一部免除によって保険料が免除された期間は、将来受け取れる老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。しかし、免除された金額に応じて、受給できる年金額は減ってしまいます。
・全額免除の場合:本来の年金額の8分の4
・4分の3免除の場合:本来の年金額の8分の5
・半額免除の場合:本来の年金額8分の6
・4分の1免除の場合:本来の年金額の8分の7
免除がある場合の国民年金の受給額の計算式は、次のとおりです。
日本年金機構のウェブサイトより
たとえば、5年間(60か月)にわたって全額免除の期間がある方の場合、
77万7,800円×(420カ月+(60カ月×4/8))÷480=72万9,187円
と計算できます。
産前産後期間の免除制度
第1号被保険者が出産したしたとき、出産日または出産予定日の前月から4ヶ月間の国民年金保険料が免除になります。多胎妊娠だった場合は、出産予定日または出産日の3カ月前から6カ月間にわたって国民年金保険料が免除になります。産前産後期間の免除制度は、保険料を納めたものとして取り扱われるので、本来の国民年金保険料を支払った場合と比べて年金額が減らないメリットがあります。