はじめに
「STEPN」の暴落から学ぶDappsの注意点
Dappsの人気の浮き沈みとともに、暗号資産の価格も大きく変動しています。ステップンが発行するGSTとGMTも世界中の多くの人が参加するなかで価格を大きく伸ばしていきました。特にGMTを発行した2022年3月以降はメディアでも紹介される機会が増えて、価格が数十倍にまで膨れ上がりました。
しかし、2022年5月に入ってからは、暗号資産市場全体のリスクオフの流れもあってか、ステップンの新規ユーザー数が減少し、GSTとGMTの価格も大きく下落しました。ステップンが規制の影響で中国ユーザーを締め出したことでさらに利用が落ち込み、直近のGSTは発行時の価格より低い水準で推移し、GMTも高値から5分の1程度にまで価格を下げています。
このように、ほとんどのDappsには独自の暗号資産が存在しているため、ユーザーとして暗号資産の価格変動リスクを負うことになります。ステップンの場合、「歩くだけでお金が稼げる」と言われればきこえは良いですが、初期投資としてデジタルスニーカーを購入するために10万円以上かかることもあり、原資を回収するまでに相応の時間がかかってしまいます。たとえGSTやGMTでお金が増えた気になっていても、それらの価値が暴落してゼロになる可能性もあるのです。
また、Dappsでは取引所とは違って基本的に自身のウォレットで資産を管理しなければなりません。最近ではフィッシング詐欺によってウォレット情報が盗まれてしまう事件も起きており、第三者に秘密鍵が漏れてしまった場合には資産を失うリスクもあります。ステップンでせっかくデジタルスニーカーを強化しても、そのNFTが盗まれてしまったら元も子もないですよね。
ステップンを例に、Dappsの使い方と注意点について触れてきました。
今では金融に限らず様々な分野のDappsが開発されており、これまでにはないサービスが次々に誕生しています。その一方でやはり暗号資産に特有のリスクが存在し、なかなか普及が進まず、一部では投機色が強いことも確かです。
しかし最近では、メタマスクをはじめとするDappsウォレットがクレジットカード決済を導入する動きや、コインベースのような大手取引所がDappsへの間接的なアクセスを提供する動きもあり、少しずつDappsを気軽に触れる環境が整いつつあります。近い将来、Dappsもアップルやアンドロイドのようなアプリストアと並んで利用ができるものに発展しているかもしれません。